食思考マラソン(9)春、貴族のスタンプラリー その3 │太田充胤
スタンプラリーも第3回となりました。いよいよ今回、筍を食べます。
前々回の記事を書きながら、あー今年は筍を食べないまま春が終わりそうだ…まあ無理して食べるものでもないし、今年は忙しいし…と諦めていたのもつかの間、根っからの貴族である妻が颯爽と筍を買ってきたのは土曜日の夕方のこと。
突然ですが実は私、今年から職場が変わりまして、仕事量も通勤時間も前職より大きく増えた結果、平日をなんとか乗り切って週末はボロ雑巾のように無為に過ごすという日々を送っています。貴族からは程遠い生活の中で、元々ほとんどなかった私の貴族精神は、いまや無に等しいレベルまで擦り減っています。
そういうわけでその土曜日も、私は終日ベッドの上で過ごし、眠ったり起きたりを繰り返していたのですが、17時過ぎに妻が「じゃあ私が筍買ってくるよ!」という威勢のいい台詞を残して家を出たのを微睡みながら聞き、次に目が覚めたときにはもうキッチンでぐらぐらと筍が茹でられていました。
さすが貴族です。人は自らが貴族でなくでも、貴族をパートナーに持てば貴族的に生きることができるのです。
さて、こうしてすでに筍は茹ではじめられているわけですが、この筍の茹で方というのがまた厄介な話題でありまして。
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