新卒採用Web企画のつくりかた #2 いきなり上海採用ができるまで
リクルーティングGの好美です。前回の続きなので読んでない人は#1から読んでください!
さて、#1でははなぜWeb企画がいいの?という話をしたので、今回は実際にいきなり上海ができるまでにどういう議論があって、頭を悩ませて、やってみたけどどんな反省があるのかみたいなものを書いていきます。
繰り返しですが、もともと社内の後任採用担当のためのものなので殴り書きですが悪しからず。
# ことの発端は5月24日のmtgでのブレスト(企画リリースまであと1ヶ月)
20新卒は20人採用するとなっていたが、2019年4月時点で内定は0名。ボードの左上に「20採用10名(300名Entry)今からがんばるぞ‼️」と書いてあるので、この時点で10名ぐらいの着地は見え始めた頃かな?ただいろんなリスクを考えると15名を目標においたほうがいいんだけど、壁が高すぎてモチベが下がりそうだったので一旦10名で置いた、という状況ですね。
とりあえず良さそうな企画をブレストしようという場で、1つ1つ見ていくと突っ込みたくなるものも多数ですが(ワイルドカードって赤丸ついてるけどなに?とか、旅館採用って何するねん!とか)、だれも否定はしないのがブレストのルール。
1年を通じて多くの企画を出しましたが、ブレストは結構頻繁にやってました。その時は採用されなくても後から点と点が繋がって企画に結びついたり(10月末に開催した、「3人1組でエントリーするチームインターン」はこのへんですでに案が出ていた)するのと、提案みたいな感じでもっていくと格好いい/まともそうな(≒よくありそうな)案しか出なかったりするので、深く考えずポンポンだしたほうが結果良かったりします。
💡ブレストの切り口のはなし
今回は「旅系」「時期ずらし系」「グローバル系」みたいな全然MECEじゃない切り口でやったようですが、なんらか切り口は合ったほうが案を出しやすいと思います。他の時だとターゲットを洗い出してそれに向けていくとか、トレンドから考えるとかもやってたので機会あれば放出します。
# ブレストからの決め方
発散→収束とよく言いますが、ブレスト時は変なテンションになってるのでちゃんと収束させていくのがとても大事。とくに発散型のメンバーが多い場合は、偉い人がどんなにノリノリでもだれかが責任持って収束させないと大変なことになります。実際手を動かすのはメンバーなのでw
収集のさせ方としてよくやっていたのは、以下の3点を考えていくこと。
1)三方よしか
2)Locoがやる意味、文脈はあるか
3)炎上、NGでるとしたらなぜか
ブレストを一旦した後に、それぞれについて口頭でいいので3点を考えてみて、可能性あるのでは?(具体的には2点以上はクリアできるとか)というのを残して、さらに詳細を詰めていくという流れかなと思います。
この時結構大事なのは、なるべく「持ち帰ります」にしない、その場でポンポン進めてしまうこと。持ち帰って考えても個人のアウトプットの質は変わらないし、持ち帰ると結局1人で考えてしまうので複数人いる場の方がいい結論にたどり着くのが早い。
1)三方よしか
三方は学生にとって、会社にとって、社会にとっての三方向。全部を満たしているとパーフェクトだが、なかなか難しいのでなるべく満たすを目指していく。例えばこのときのmtgか忘れたけど「副業採用」という案が出ていたりして、
・学生:副業できるの嬉しい
・社会:副業とかパラレルワークっていいよねの方向なのでよさそう
とはなった。ただ、会社として副業自体はOKにしているが、新卒をなんのために採用するんだっけとなった時にやはり最初はフルコミットで会社を盛り上げて欲しいよね、スキル高くて副業で受け入れるのは中途でいいのでは?みたいな感じで収束しました。
そんな中「いきなり上海採用(という名前は当時なかったが)」については、
・学生:海外で働きたい、グローバルで活躍したいと思っても早くても3-4年しないと海外行けない、それが4月からすぐいけるの嬉しい
・社会:グローバルに活躍するのを応援するのいいね
・会社:一年目から海外で働きたいって優秀な学生多そう、トリリンガルとかガッツえげつないとかよい!
こんな感じで「なかなかよくないか?」となり、第一関門はクリアとなりました。
2)Locoがやる意味、文脈はあるか
なんでLocoがそれをやるの?というのにしっくりくる理屈をつけられるかというところで、意味ありきで決める必要はあまりないのですが最終的には必要です。
「遠回り交通費10倍採用」だったら、「Locoは日本の地域の魅力を発掘し、世界に発信する会社です。だからみなさんも、選考に来るまでにたくさん遠回りして日本の魅力をたくさん見つけてきてください」とか。
「いきなり上海採用」だったら言わずもがなですが、「アジアを代表する旅行カンパニー(弊社のビジョン)を一緒に作るために、グローバルの第一線で活躍してくれる人を募集!うちは新卒入社で28才のメンバーがグローバルの執行役員兼上海子会社の社長をしているので、その元でめちゃくちゃ働いて成長できますよ」みたいなメッセージです。(長いな)
これが「副業採用」とかだと結構難しくて、「Locoは多様な働き方を推進しています」とかになる?けど一番大事にしてる価値観って本当にそれなんだっけ、それにめちゃくちゃ共感して入ってくる新卒って心の底からうちに合ってると言えるんだっけ、などなど。
そんな感じでLocoがやる意味というのを考えていきます。
3)炎上、NGでるとしたらなぜか
これは最初に言っておきたいのですが、「炎上しそうだからやらない」とは限りません。ただ可能な限りのワーストケースや、社内コンセンサスでつまづきそうなポイントをみんなで色んな視点から想定しておくことで、①補足しながら進められるのでコンセンサスを取りやすい ②なにか起こった時もすでに想定しているので速やかに鎮火できる、というメリットがあります。
炎上しそうというのはだいたい「伝え方のセンス」みたいな部分もあるかなと思うので、色んなことを妄想して考えて考えて作ればそんなに炎上しないです。たぶん。(万が一センスのない伝え方をして炎上しても、有名企業じゃなければそもそも注目さえ浴びないのでこっそり火消しできると思います\(^o^)/)
いきなり上海採用でいうと、「新卒でジョブ採用はやらない方針(弊社は基本てきに総合職採用)だが部署確約で大丈夫か?」「上海は子会社だが東京本社採用とするのか子会社採用とするのか、子会社採用ならそれを本社のコスト(人的リソース含む)でやるのはどうなのか」「給与は、東京と上海どちらの基準で決めるのか」などなど、まあ論点盛りだくさんという感じでした。
💡コンセンサスをとりやすくするポイント
さすがの社長も細かいところまでプロなわけではないので、「ちゃんとワーストも想定してるよ」「細かいところはわかる人と確認して進めるよ」と安心させることは大事だと思います。今回は「この辺が論点になるとは思うので、あとは経営管理部と上海子会社社長と詳細確認しつつ進めていきます!」という感じでコンセンサスをとりました。
# ちょっと時間をおいてみる
ここまで基本は口頭と、ホワイトボードに書くぐらいです。持ち帰ったりしない。持ち帰っても進まないから。上記みたいなことを色々考えつつ2,3案まで絞ったら、ちょっと日を置きます。具体的には3日〜1週間ぐらい。
日を置くと冷静になってきたりして、「これってうちが求めてる人と合わなくない?」「すごい地味に終わりそう」「〜〜に怒られそう」みたいなのがじわじわ思いついてきます。いい企画だと「日が経って改めて見てもやっぱりいいな」とか、「うまくいくかドキドキするな〜〜」という感じ。この高揚感はGOのサインな気がする。
日を置いてる間に社長にコンセンサスがてら頭出しして反応を見たり(ただしNGを食らっても屈するとは限らない)、社外で巻き込みたそうな人に相談してみて反応を見たり(後述、めっちゃ大事。)そんなことをします。
やると決まったらあとはやるだけなので、ここからはやる上で発生した論点やポイント、反省点をなんとなく時系列順に記載していきます!
Q1. 社内外どちらのデザイナーに頼むか
結論として社内のデザイナーに頼みました。これは「コストとスケジュールと関係性」によると思います。
社内デザイナーに頼むメリットは、何と言ってもコストが追加でかからないこと。もちろん人件費としてはかかりますが、新卒採用の予算がほぼない中でのPJTになるので別途かからないのは非常にいい。
一方でデメリットを想定すると、まずデザイナーはサービスの向上がメインミッションになっているので、こういった採用PJTの優先順位が下がりがち。結果として必要以上に長く時間がかかったり、納期が遅れたりする懸念がありました。
もう1つは社内だからこそ、採用PJT自体に介入されやすいこと。これは結構難しくて、正義が衝突する恐れがあり進行遅延を招きます。社外だとそういった問題は起こらないので、コストをかけられるなら社外がベターかなとも思いました。
ただ弊社は社員全員が新卒採用への貢献をOKRとして持っていることや、当時のデザイナーチームのリーダーが採用に理解ある方だったため上記の懸念が一切発生せず、100人規模の会社で関係性もよかったので、社内デザイナーに頼んだ結果ベストな形で作成できました。感謝!
Q2. エントリーのハードルを上げるか下げるか
結論として、「いきなり上海採用」ではハードルを相当上げました。でも「ONE TEAM採用」ではわりと低めにしたかな。
いきなり上海では「めちゃくちゃ大変な環境です」という文字をトップにどーんと載せて、その下にも「いきなり上海で働くというのがいかに泥臭く、大変か」ということをつらつらと載せています。(参考)
これを読んだ多くの人は、「そんなに厳しいのか〜やめよ。」となると思います。だがそれでいい。その中で超一部の「え、そんなに厳しい環境なのめっちゃ面白そうやん」と思える人からエントリーがもらえれば目標達成なのです。
当たり前ですが、ハードルを上げるとエントリー数は下がります。ハードルを下げるとエントリー数は上がる。ただそれだけじゃなくて、ハードルが高いからこそ「これは私のことだ」と思ってエントリーしてくれる人がいるというのがポイントです。ハードルを下げるとエントリー数は上がるが、ハードルを上げた時と同じ候補者を内包しているとは限らない。
認知拡大やバズりを狙うのであれば、ハードルは低くしてなるべく多くのアクションを引き出すでいいと思います。一瞬考えた「佐藤さん採用」とかは佐藤さんなだけでエントリー完了なのでハードルの低さでいうとすごいし、ちょっとぐらい話題にもなりそう。いい悪いではなく目的次第なので、いろんな選択肢を持つのが大事!
Q3. たくさんある懸念点を、どこまでクリアにするか
今回でいうと、ここの部分▼
いきなり上海採用でいうと、「新卒でジョブ採用はやらない方針(弊社は基本てきに総合職採用)だが部署確約にして問題ないか?」「上海は子会社だが東京本社採用とするのか子会社採用とするのか、子会社採用を本社のコスト(人的リソース含む)でやるのはどうなのか」「給与はどちらの東京か上海、どちらの基準で決めるのか」などなど、まあ論点盛りだくさんという感じでした。
これをどこまで整えてから企画として発信するか?について、結論から言うと「ほぼ整えずに発信した」からこそ実現できたと思います。(これ怒られたら消そ・・・)
正直懸念点って挙げだしたらキリがないし、社労士さんとか弁護士さんとか巻き込み始めたらかかるリソース半端ない。たぶん全部クリアにしてから発信!とか言ってたら、1年たってもリリースできなかったと思います。しかもそんなに整えて発信したとて採用に至る人がどのぐらいいるかもわからない。無駄に工数をかけて0人でしたというのが一番勿体無い。
なので、企画の骨子となる「4月から上海に配属になります」「仕事内容はグローバルマーケティングや事業提携、〜〜です」などだけしっかりコンセンサスをとり、「実現のやりようはあるがどうするかは未定」というステータスまで来たらもうリリースしました。だからまだ決まっていない詳細については、もちろんLPページに記載もしてません。
この子のためにたくさん労力を割いて調整しよう、と思える子を採用できたら実現させられる準備だけして、あとは一旦走り出すという意思決定。それが企画からリリースまで1ヶ月弱で進められた大きな理由の1つだと思います。
# 未来に向けての反省点1_数値観測ちゃんとする!
GA(Google Analytics)を使っている会社は多いと思うのですが、どの数字をとるかというのは結構大事。
<マストで観測したい>
・LP自体のPV数
・LPへの流入経路毎の数字
・エントリーフォームのクリック数
・実際のエントリー数
<できれば観測したい>
・メールやSNSの出し分けなどしている場合、文言毎の開封率とCTR
・経路毎のエントリー率
データというのは資産なので、なるべく精緻に取れるように準備したいもの。採用担当はこの辺のマーケティングツールに疎い場合があるので、必要であれば他部署の人に教えてもらいつつ数字をとるようにしましょう。
「いきなり上海採用」ではここが徹底できず、LPのPV数とエントリー数しか取れなかったため、「ページは見たが企画内容がいまいちでエントリーしなかったのか」「エントリーボタンは押したが、記入内容が多いなどで離脱してしまったのか」がわからず、正確な振り返りができないというもったいないことをしました。大反省!
# 未来に向けての反省点2_変な遠慮をしない!
▼検索した時の赤枠の文言
「Shanghai-新卒採用2020」になってるけど、「いきなり上海採用-新卒採用2020」にしたかった。多分簡単なことなんでしょうけど、知識がないとこういう1つ1つがわからなくて億劫になっちゃって、もういいや!ってなっちゃうけど、後から見るとこの辺が気になったりするんですよね\(^o^)/
▼OGP(※)画像のデザイン
※OGPとは:「Open Graph Protocol」の略。
FacebookやTwitterなどのSNSでwebページやブログの記事がシェアされた時、またLINEなどのメッセージ機能でページのURLを送信した時に、そのページのタイトル、URL、概要、画像を表示させる仕組みのことです。
もっと赤くて扇情的なOGPにしたかった〜!特にいきなり上海はSNSでの拡散が功をなしたので、OGPが与える印象ってめちゃくちゃ大事で、これ1つでCTRも全然変わったと思うので、もっとこだわるべきだったなあ。デザイナーはデザインのプロだけど、採用担当は採用のプロなので、ここは変な遠慮をせずプライドを持って「もっとこうしたい!」をちゃんと伝えるんだぞ!
※当たり前だけどデザイナーは全く悪くなくてすごく素敵なデザインで、でも正解はない中で採用としての気持ちをもっと正しく伝えるべきだったよねというはなし
# おわり
以上、こんな感じで「いきなり上海採用」はやってました。紆余曲折や議論や反省が伝わって、もっといい企画をつくる参考になれば嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?