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新潟から約1時間! 江戸時代から続く無名異焼が残る佐渡島 ~陶工房弥七郎 渡辺民和子さん~
新潟から北へ40km、東京から3時間半で行けるのが新潟の北にある佐渡島。現在、日本にある島で沖縄島に続いて2番目に大きく、5万人の人が住んでいます。
※東京の1.5倍の大きさです
佐渡島で陶工房「弥七郎(やしちろう)」をご夫婦で開いているのが渡辺民和子さん。地元では「民さん」と呼ばれる気さくな渡辺さんに、陶芸や佐渡島の魅力についてうかがいました。
渡辺民和子さん
民さんの実家は四代続く無名異焼きの窯元
islands market:
民さんは佐渡島の出身とうかがいました。
民さん:
私の実家は四代続く無名異焼(むみょういやき)の窯元なんですが、私は一度佐渡を出て京都で陶芸を勉強してまた戻ってきました。いまは夫婦で陶工房をやっていますが、夫もルーツは佐渡島の人です。
islands market:
無名異焼について詳しく教えてもらえますか?
民さん:
江戸時代から佐渡島で作られている伝統的な焼き物です。佐渡島には金山があったんですが、その周囲の土は粒子が細かく鉄分も多く含んでいます。昔は、止血剤や増血剤として飲まれてもいました。無名異焼はその土を使った焼き物です。
islands market:
陶工房弥七郎では無名異焼のほかにも焼き物をやっているそうですね。
民さん:
京都にいたときにお世話になった粘土屋さんから取り寄せた土で作っています。主人はろくろ、私は手びねりでそれぞれの考えたものを作っています。最近だと子ども用のランチプレートを作りました。
陶工房弥七郎は旦那さんの縁のある家で創業。「弥七郎」の名は屋号(家屋につけている名前)からもらっているそうです
islands market:
焼き物でランチプレートは珍しいですね。
民さん:
ほかにお花をモチーフにしたアクセサリも作っています。「革製品みたい!」と人気のある商品のひとつです。器や湯飲みはついつい溜まってしまいますけど、もっと気軽に手に取ってもらいたいとペンダントから始めて、ブローチやピアスも作っています。
意外と知らない陶芸のお話し
islands market:
いま島内にはいくつぐらいの窯元があるんですか?
民さん:
窯元、つまり窯がある陶工房はいま10窯ほどです。無名異焼の歴史は100年以上、実は天皇家にも献上したことがあるんです。バブル期は、年間の観光客が100万人を越えた時期もありました。両手一杯にお土産の無名異焼を抱えて帰るかたもいらっしゃったらしいです(笑)。
※ 1819年に金山の土を使った焼き物が登場し、進化を続けて明治時代に「無名異焼」として確立したそうです
islands market:
民さんはwebショップやソーシャルメディアも積極的にやってらっしゃいますよね。
民さん:
景気も影響して観光客も減っています。お土産はもちろん、陶芸教室を開催してもなかなか人が集まらなくなっていますが、何かできることもあるのでは?と考えてインターネットを頑張っています。私はパソコンには疎いので、知り合いに聞きながらですけど(笑)。
@tami0501(instagram)
876(webショップ)
islands market:
窯ってどのぐらいの大きさなんですか?
民さん:
説明が難しいですね(笑)。小さいものだとだいたい奥行き1.5m、深さが1.5mぐらいです。大きい窯だと3mぐらいになるものも。私の実家は四代続けているんですが、いろんな窯を持っているんですよ。
民さんのご実家は四代続く窯元。民さんが継げば五代目だそうです
islands market:
窯というのは石炭とか木炭とかを使うんですか?
民さん:
いまは電気やガスが主流です。焼きたいものが一定数溜まったら窯に入れてまずは素焼きをします。だいたい3日ぐらいですね。それから「釉薬(うわぐすり、ゆうやく)」を塗ります。そして本焼きで4〜5日。
islands market:
焼くのにそんなに時間がかかるんですね!
民さん:
だいたい900〜1200℃の熱で焼いていくので、その温度までゆっくり熱してゆっくり冷ましていくので時間がかかるんです。昔は、薪でやっていたんですけど、火を絶やさないように寝ずに見まもっていました。
民さん宅にある電気窯。「作品が溜まったらこうやって並べて、数日かけて焼き上げていくんです」(民さん)
islands market:
焼き物をする粘土はどうやって作っているんですか?
民さん:
土を拾ってきて水の中に入れておきます。それから水分を取って、寝かして練ってを繰り返して半年から1年ぐらいの粘土を使います。こちらは「水を抜く」のに時間がかかるんです。絞ったりプレスしたりで水を出して、また練っていく。
islands market:
粘土の段階でもそんなに時間がかかるんですね……粘土屋さんがあるんですね。びっくりしました。
民さん:
焼き物の産地にはだいたい粘土屋さんがあるんですよ。でも、無名異の粘土は外に持ち出せない決まりがあるんです。江戸時代から。佐渡島でしか作れないんですよ。窯元でも作風などに違いがありますし、ぜひその目で見て体感もして欲しいです!
海の幸や果物に“お洒落な人たち”に恵まれる佐渡島
islands market:
最近、佐渡島へ移住するかたが増えているとうかがいますが、佐渡島はどんな島なんですか?
民さん:
関東と比べると「寒い」かも。今日は6℃です(取材日の東京は13℃でした)。雪も積もります。でも、寒ブリやカニ、甘エビとか、海産物が豊富です。洋梨や柿など、果物も豊富なんですよ。
海産物は離島ならではの楽しみのひとつ。日本海に囲まれた佐渡島は美味しい海の幸に溢れているそうです。
islands market:
民さんの周りにも移住してきたかたはいらっしゃいますか?
民さん:
佐渡島にゆかりはないんですけど古民家を自分たちで直して、カフェをやったりゲストハウスをやったりするお洒落なかたが増えています。葡萄農家と民宿をやっていらっしゃる「アンダンテ」さんは、ご夫婦で佐渡島に移住してきたそうです。ゆくゆくはオリジナルのワイン作りも行うそうですよ。
アンダンテ(webサイト)
@baybeefarm.sado(instagram)
islands market:
農業をやりたいかた、パソコンがあればできる仕事のかたが移住しているとうがかいます。
民さん:
そうですね。農業も盛んですので移住してきている人はいるかもしれませんね。移住者ではないんですが、私の息子の友人「吹上農園」さんもislands marketで柿と洋梨を販売する予定なんです。佐渡島の味をお届けします。
吹上農園(Webサイト)
@fukiagefarm(Twitter)
islands market:
佐渡島、たくさん魅力がある島ですね!
民さん:
木彫りや版画をやっている本間尚子さんや、竹かごやバッグ、花入れを毎日制作している竹作家の数馬昭男さんなど魅力的なかたもたくさんいらっしゃる島ですので、ぜひ一度足を運んでください!