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オフ・ブロードウェイ ミュージカル『Ordinary Days』の感想1 (相葉ジェイソン)

※公演ネタバレはもちろんあります

オフ・ブロードウェイ ミュージカル『Ordinary Days』の感想です。2月8日〜12日俳優座劇場、18日COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演されます。概要は下記参照。

・ストーリー
眠らない街・N.Y.に住む男女4人。30代のカップルであるジェイソン(相葉裕樹)とクレア(夢咲ねね)は、互いを想いながらも、ここ最近衝突ばかりでお互いの心が掴めないでいる。一方、アーティストを目指す青年ウォーレン(小池竜暉/中本大賀)は、手書きのチラシを配布する活動をしているが、誰からも見向きもされない。ある日、大学の論文に追われるデイブ(斎藤瑠希/浜崎香帆)のノートを偶然拾ったことで二人は知り合い、少しずつ世界が色を変えていく…。日々を懸命に生きる4人の人生が、思わぬ形で繋がっていく…自身のかけがえのない大切な時間とは…?

https://ordinarydays.jp/

相葉さんはシングルキャストなんですがなんか相葉ジェイソンって言っちゃう。日本で2013年に上演された時はジェイソン役が阿部よしつぐさん・松原剛志さんのWキャストだったそうで、相葉さんも含めて全員アンジョルラス!!!になる。(2014年バージョンは違うらしい。麻田キョウヤさん)今作オリジナルキャストのハンターフォスターも、私が1回だけ行ったことのあるブロードウェイで観たなあという思い出があります。

私は割と事前に作品について調べるタイプなので「これは良作だろう」と思っていたんですが、なんか思った以上によかった……。けっこう観れば観るほど沁みてくる作品かもと思っていて、今これを書いている3回観た時点で、ちょっと走り気味で熱がこもった「Hundred Story City」あたりからだらだらずっと涙を流してしまいました。あんまり観劇で涙しないタイプなんだけど、波長が合ったのかな。てかとにかく「Hundred Story City」が好きすぎて…相葉ジェイソン、キラキラわんこなのにそこはかとなく“陰”なのもいい(本人の性質?)

※ダイジェスト映像こちら↓

作品のテーマとしては皆さん「何気ない日々」とおっしゃってるんですが、もう少し踏み込むと「それぞれの何気ない日々がつながって響きあうことが美しい」までがテーマなんじゃないかと。最後の「Beautiful」の歌詞がまさにそれだって感じ。作品自体の構成がものすごく面白くて、最初4人それぞれのソロ曲で状況を説明し、ジェイソン&クレア、デイブ&ウォーレンの物語が並行する中で、知らない間に交わり影響しあっているところが魅力でした。

もう1つ、この作品が世界中で演じられる要因として、クレアの「I'll Be Here」という曲の存在が大きいんだろうなと思っていて、これは作中でジェイソンにプロポーズされたクレアがなぜ逃げ出すのか、それは9.11で夫を亡くした過去があった…ということを告白する曲。偶然出会ったデイブとウォーレンが手書きのカラフルなチラシをビルからばら撒いたことで、“あの日”を思い出したクレアが、亡き夫からのメッセージだと感じ、ジェイソンと共に生きていくことを決意する。それを電話でジェイソンに伝えるという曲ですね。

“I’ll Be Here”を日本語訳詞でアップしてくださってる木村花代さん

“I’ll Be Here” Ordinary Days 日本語訳をアップしてくださってるサイト
(電話のくだりは、クレア→ジェイソンなのかなと思いつつ)

ここに関しての所見も書きました(横着)

https://fusetter.com/tw/wg2WEggn#all

私は作品が発表された時点で予習してたので、初日というかプレビュー公演も割と構えて観てたんですけど、事前情報を入れてたがゆえに、全体の流れで見て、思った以上に気を抜いてたら聞き逃してしまうかも!とも思いました。日本人が、福島、3月…という単語だけでピンとくるように、きっと観てる場所が違えば、ニューヨーク、9月…というところだけで観客がピンとくるのだと思います。あとたぶん英語と日本語の情報量の違いと、それから初演が2008年だったという時代の違いも感じました(初演はオフウェストエンドだったらしいけど)。演出の田中麻衣子さんもパンフレットで触れていて、「もう20年前」「キャストの中には生まれていなかった人もいる」という話、それはたぶん客席もそうだろうな〜と思ったりしました。

事前のインタビューやコメントなどではここはネタバレNGだったんだろうな、ということも感じていて。そのせいかあまりにもキャストが「何も起こらない作品」「何気ない日常が大事」と言いすぎて、いや重要なとこ言えないにしても、何も起こらない作品観たい人いる!?!?と思ったりもしたんですが。あとこの作品もけっこういろんなこと起こってるよ!!みんな歴史的革命とか起きる作品に慣れすぎだよ!

個人的にはキャストにいい宣伝文句を求めることは過重労働だと思ってるので、そこはもうちょっと宣伝の方でなんとか…コピー作るの苦手だけど「それぞれの何気ない日々が影響しあって、小さな奇跡を生む物語」とか、「何がどうなるかわからない、今の時代にこそ観たい作品」とか、いろいろ言えることあるだろと。「ソングスルーだよ!歌を聴きに来て!」と言ってるのに、キャストの「初ミュージカル!」を喧伝したりするチグハグさはどうなん?と感じてはいました(演者は悪くない)。かと言って、よくある映画のように「彼女の歌の意味に気づいた時、あなたは涙するーー」的なコピーだと下世話だなあと思うから匙加減って難しいですね…。

上演前にも思っていたけど、「9.11に触れているからこそ観たい」と思う人もたぶんけっこういる…ただそこを宣伝でやらないのは、エンタメ化しないという意味でよかったのかなとは感じました。作品自体、あくまでも「過去の傷から立ち直る時に、実は他の人からの何気ない影響があった。その過去の傷とは9.11に関係していた」というラインにあるわけで。しかし東京5日間、大阪1日だと、あとから知っても観れないから、もどかしいところでもありますね。

繊細な部分と思いつつ構成としての燃えはあって、曲単体で聞いた時には気づかなかったんですが、通して観た時に「I'll Be Here」って叙述トリックじゃん!!!になりました。ジェイソンとクレアの出会いは今回2度示され、特にジェイソンがクレアにプロポーズする直前に出会いを振り返っているので、クレアもジェイソンとの出会いについて話すのかな……と思わせといての「僕はマイク」(原詞ではジョン)でしびれました。またジョンとジェイソンだと日本人はよくわからなくなりそうだからマイクにしてくれてよかったと思います。

そしてここで力尽きたので、後に書きたかったことはまた……とにかく上演中に感想をあげたかったのでいったんアップします。という意味での「1」なんだけど「2」が続かなかったら申し訳ないっす。

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