20代の現役不動産屋が『正直不動産』を全巻読んで学んだこと|manga
こんにちは。
前回の初めての有料記事をアップしたところ、かけた時間や熱量に反して読者の方々のリアクションが少なく、私が何者でもないことを再認識している中川です。
私は、2024年7月よりnoteをはじめ、毎週土曜日の夕方頃に記事を投稿しています。家づくりをされている方や、夢を追いかける若造を見守って下さる方は、お気軽にスキ、フォロー、コメントして下さると大変励みになり嬉しいです。
自己紹介はこちらの記事をご覧ください。
さて今回は、タイトルにある通り、マンガ『正直不動産』を読んだ感想を記事にしていきます。俳優の山下智久さんが主演を担当しNHKで2シーズンドラマ化されたことで、内容は分からなくとも名前だけは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
不動産購入のための必読書です。
※ネタバレを含みますのでご注意ください。
▪ざっくりあらすじ
『本気です。私、嘘がつけない人間なんで』
キャッチコピーの通り、主人公の設定は直截簡明、嘘が付けなくなった不動産会社の営業マンです。
不動産会社というと、『騙されそうで怖い』『どこかうさん臭くてすべて嘘に聞こえる』といったイメージが少なからず多くの人の中にあるかと思います。
実際、不動産業界には「千三つ(せんみつ)」という言葉があります。これには2つの意味があり、1つは『家が欲しいという話が千件あったとしても、契約に至るのは三つ』という意味と、もう1つは『千の言葉の中に、真実はたった三つ』という意味です。恐ろしい世界です。
マッチングやコンサルティングなど、似たような手数料商売はごまんと存在しますが、不動産というと身構えてしまうものです。それは、取引金額の大きさや、過去の業者さんのイメージ、知識の専門性など様々な理由があるはずです。
しかし、衣食住という言葉もあるように、すべての活動に不動産は欠かせない存在なので、老若男女問わず興味を持っています。「不動産投資」「サラリーマン大家さん」なんて言葉もよく聞くようになり、夢の不労所得にあこがれる方も少なくありません。
そんな不動産のイメージを逆手に取った設定、世間の関心を味方につけたことが大ヒットの要因だと感じています。
▪率直な感想は『リアルすぎる』
率直な感想です。『リアルすぎる』
起きるトラブルも、お客様の反応もとてもリアルです。不動産会社に行く前に読む必読書と言われる理由がよくわかります。
容姿に注目してみても、営業マンの描写が現実に近いなと思いました。スーツが似合う体系を維持し、いかにも営業マンという感じのひとたちで。仕事がデキる優秀な女性営業の方の雰囲気も、ものすごく上手に表現されています。
業務の中で生まれる葛藤もすごくリアルでした。実際に営業をしていると、本音と建前が共存しお客様にフルオープンに接しにくいシチュエーションもございます。
しかし、物語と同じように、正直に営業することのメリットが徐々に現れてきます。包み隠さず伝えることで、お客様が判断に迷ったり、契約を取りやめることにも繋がりますが、そこに信頼が生まれ、冷静に理解した上で決断できるようになってくるのです。
正直に営業することは、簡単なようで簡単ではありません。本編でも永瀬がお客様から怒られたり、怒鳴られたりしていましたが、実際の世界でも同じ状況が有りえます。
先日、原作者 夏原武さんの講演会に参加させていただきました。夏原先生は正直不動産以外にも、大ヒットマンガ「クロサギ」なども手掛けている先生です。お話の中に、多くの不動産会社の方と話する機会をつくっており、テーマ設定に物凄くこだわっているという内容がありました。
しっかりとしたこだわりから生まれるリアルさなんだと思います。
▪心に刻むべき名言5選
1つ目はこちら。
仕事の基本なのだと思いますが、「誰かのために」という他者貢献の精神です。
2つ目は、フルコミッション(基本給無し、完全歩合)のNO.1営業マン黒須に菅沼という別の営業マンがアドバイスを求めるシーン。黒須は、アドバイスではありませんが、お金持ちになるためのルールは2つあると話をします。
原理原則ですが、リスクとチャレンジのバランスが崩れてしまうビジネスの世界で、忘れてはいけないことだと感じました。
3つ目は、ライバル会社のNO.1営業マンの神木に、若手の西岡が弟子にしてくれとお願いするシーン。神木は、洗面所のシンクいっぱいになった水の中に西岡の顔をつけさせます。1〜2分経過し息苦しくなったところで西岡が顔をあげようとしたところ、神木が頭を押さえつけます。ここで西岡が怒ります。
私は現実でこんな状況に遭遇したことはもちろんありませんが、ヒリヒリするシーンです。
4つ目は、この章のサムネにもなっている、主人公の永瀬が働く登坂不動産の社長、登坂寿郎の言葉。
不動産仲介を基本の仕事としている私にとって、決して忘れてはならない言葉です。
最後になります。5つ目、お待たせいたしました。すでに正直不動産をご覧になっている方々は『あれは無いのかな?』と思われたかもしれません。お金持ちの地主さん、通称・マダムの言葉。
マンガの中でイギリスのことわざだと紹介されてましたが、深さに圧倒されます。結婚が1ヶ月か…と思うところではありますが、一生幸せでいたいなら正直でいるべきです。
偽善かもしれません。でも偽善でもいいかなと思います。
余談ですが、私の名前の「直樹」は、冒険家の上村直己さんからいただき、❝素直で真っ直ぐ正直に❞といった想いが込められていると両親から聞いたことがあります。
「名は体を表す」といったように、私も正直に生きていきたいと思います。
▪1番好きな登場人物
インスペクションをするホームインスペクターの町村隆司です。
まずは、昨今よく聞くようになったインスペクションの説明です。
マンガの中で、ライバルのミネルヴァ不動産が、リノベーション済みの中古タワーマンションを売ろうとした際、築浅なのにリノベーションしていることから永瀬は不審の目を向けました。
欠陥住宅だと睨み、永瀬は住宅診断を行うホームインスペクターの町村に調査を依頼します。ところが町村はミネルヴァ不動産から、今後仕事をまわすことを条件に、不都合な点があっても見逃すよう依頼されていたのです。
しかし、永瀬にフローリングを調べるように言われた町村は、「水漏れしている可能性があります」「最悪、床が抜けてもおかしくないです」と冷静に指摘したのです。
話が違う!とミネルヴァ不動産が町村に文句を言うと、「あなたの提案に乗る業者も、中にはいるでしょう。しかし、お断りします。誰に何を言われようが言われまいが、私は私の仕事をするまでです。」と静かに言い返したのです。
正直、しびれました。
カッコいいですね。
…しかし、とても残念なことがございます。
私はドラマ版を見ていないのですが、どうやらドラマ版の町村は一度嘘をついてしまう(黙り込んでしまう?)そうです。永瀬役山下智久さんの「私の仕事は家を売ることです。家の欠陥を見つけることではありません。町村さん、それはあなたの仕事ではないんですか」という言葉で我に返るとのこと。
「これでは町村さんのカッコよさゼロじゃん!むしろ少しダサい!」
なぜでしょう、とても悲しいです(笑)
恐らく、漫画とドラマで若干主旨が異なるこのシーンに対して、感情的になっているのは私だけでしょう。
いかがでしたでしょうか。
マンガ正直不動産は2024年9月時点で、最新作は20巻。まだまだ連載中です。ライバルのミネルヴァ不動産を倒したら終わるか、永瀬が独立するまでか、はたまた独立後も描かれるのか、続編がとても楽しみです。
『正直不動産』は、クスッと笑えて、ほどよく勉強になって、心にじんわりくる、とても魅力がある作品だと思います。人生で不動産会社と関わることが無い人は少ないと思いますので、必読書として皆さん是非ご覧いただき、悪徳不動産会社から身を守って下さい。
またまた余談ですが、インスペクションができるようになりたいと思い立ち、今月「既存住宅状況調査技術者」の資格を受験しました。告示による国家資格です。また合否が出ましたら記事にしてみますのでお楽しみに。
私は毎週土曜日の夕方頃に、不動産業界のリアルや家づくりの疑問について更新していますので、お気軽にスキ、フォロー、コメントして下さると大変励みになり嬉しいです。みなさんの理想のお家、読んでみたい記事のテーマについてコメントで教えてください‼
お付き合いいただきありがとうございました。
それではまた来週。