五章 浪漫と算盤
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一章:企業と倫理
二章:私事と公共
三章:企業と公共
四章:道徳と良心
五章:浪漫と算盤
突然ですが、この記事タイトルの「浪漫と算盤」は、私が好きな曲のタイトルでもあります。この曲は、このような歌詞で始まります。
主義をもって利益を成した場合は、商いが食い扶持以上の意味を宿す。
この曲はおそらく、これもまた私の好きな本の一つである『論語と算盤/渋沢栄一』をエッセンスとして取り入れています。現代の楽曲でも歌われ、また近代資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一も唱えているように、四章までに記載してきた「ビジネスと社会貢献の両立」という価値観は、幅広い層に受け入れられている価値観です。そして、忘れてはいけないのは、私は思想家ではなく起業家です。だから、この価値観を尊重することだけを目的にせず、事業を通じて社会への貢献が実現していくことを目的にすべきだと考えています。そこで、最終章にあたるこの五章では、私たちの現在の視点から、どのような成果にこだわり事業開発を行っているのかを述べたいと思います。
わたしたちが想像力を広げた先
まず最初に、SDGsについて触れておきたいと思います。ご承知のとおり、SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、現在世界で重要と考えられる17の目標のことを指しています。2015年に国連のサミットで採択され、多くの国で持続可能な社会のための取り組みとして認知されています。SDGsへの取り組みは日本も例外ではなく、経団連を含めて多くの企業や組織でSDGsが掲げられています。
このSDGsには、貧困や気候変動、ジェンダーの平等など幅広い目標が掲げられています。私はSDGsを、私たちの活動を多くの人に知っていただける、共通言語だと考えています。そして、この共通言語を活用し、そのあとに私たちが想像力を広げた先について述べたいと思います。
まず弊社は「配車頭(ハイシャガシラ)」という、AIが効率的な廃棄物回収の配車計画を作成するサービスを提供しています。このサービスを通じて社会に貢献できることは具体的には以下3点になります。
11 住み続けられるまちづくりを
日本では労働人口不足で、世界では急激な都市化で廃棄物処理が立ち行かなくなっています。私たちはテクノロジーの力で、廃棄物業界をアップデートし、より強靭な社会インフラの構築に貢献したいと考えています。そして、「配車頭」では、既存のドライバーでより多くの配車を実現しています。また配車担当の配車作成にかかる時間を1/100ほどに省力化できています。業界の負担を減らすことで、業界のインフラの再構築に寄与しているサービスになっていると自負しています。
12 つくる責任、つかう責任
次に、弊社のサービスを通じて、現在よりもトレーサビリティーが高い廃棄物管理が実現できます。このサービスを利用することで、廃棄物処理を適正に行う廃棄物業者が経済的に報われる仕組みをつくり、廃棄物の適正処理の促進と、リサイクル率の向上に貢献したいと考えています。
13 気候変動に具体的な対策を
そして、配車が効率的になることで1日の総走行時間が削減し、温室効果ガスの排出量削減に貢献します。導入企業においては、人間が作成する配車計画と比べて最大で総走行時間を18%程度削減できた事例もあります。
以上のように、わたしたちができることは、まだまだ限られています。しかし、今後も事業開発を進める中で少しづつ廃棄物業界に貢献できることを増やし、ひいては持続可能な社会への貢献をしていきたいと考えています。
稼ぐ力があるから、想像力を広げることに意味が生まれる
四章で、「いかなるときも社会への想像力を広げよう」という言葉をファンファーレの社会的価値に対する態度として述べました。しかし視界を広げたところで、見つけた課題を、ビジネスで解決する力がなく、持続的な価値提供ができなければ意味がありません。なので、私たちはマネタイズする力も同時に高めていく必要があります。それは、現在取り組む事業を抽象化し、新しい課題に対して応用できるようにしていくということです。
例えば、現在の事業を例にとってみると、以下のような抽象化ができると思います。
1テクノロジーが十分に未開拓の地で、社会課題の第一発見者になる
2業界にとことん入り込むことで、インサイダーになる
3ハイエンドな技術を用いて、ビジネスとして成立させる
この各プロセスをわたしたちが応用できる形に型化していくことや、当事者意識を持って社会課題に取り組むことができる仲間を増やしていくことで、解ける問題が増えていきます。このように組織が強化されていくにつれて、新しい世界へ想像力を広げることに価値が生まれます。
以上から、適切な範囲で視界を広げることを続けると同時に、十分な稼ぐ力を身につけていくことのバランスが重要だと考えています。
さいごに
これまで五章にわたって、わたしの企業倫理について述べてきました。振り返ると、一章では、なぜ企業が企業倫理について考える必要があるのか、二章では企業倫理を考える上で重要になる「公共」という言葉の意味についての整理、三章では「公共」に対しての企業はどのような時代の変化の中で向き合ってきたか、四章ではファンファーレとして、どのような態度で企業倫理に向き合うべきか、五章では想像力を広げることと、稼ぐ力を伸ばすこと両立することついて述べてきました。
改めてになりますが、この一連の記事は、会社の企業倫理を培っていくために、まずは代表である私があるべきと考える企業倫理について言語化したものです。ファンファーレの仲間と一緒に、私も日々想像力を広げて、私が生きるこの社会にファンファーレを鳴らす存在になれるよう、走り続けていきたいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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