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侏儒の自省録

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「侏儒の自省録」とは、必かならずしもわたしの思想を伝えるものではない。わたしの思想の変化を時々うかがわせるのに過ぎない。宇宙全体からすれば人生は一瞬であり、死後の名声もすぐに忘却…
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記事一覧

令和五年 葉月 やくめ

家族の役目と、企業の構成員としての役目お盆は、墓参り。 お盆で墓参りにきている。私の家族は律儀に墓参りに行く家である。京都の東山区にあるとあるお寺に、春彼岸、お盆、秋彼岸、その他京都に訪れた時は必ず墓参りに行く。このしきたりを破っては家族の一員であることが認められないような暗黙的なルールが存在している。 小さい頃は、ただついて行くだけだったが、思春期に入るにつれてめんどくさがるようになり、京都の大学生だった頃はむしろ行く回数が減っていた。「行きたくない」と言った時の祖母の悲

令和四年 文月 かぶく

大阪と東京で違う味噌汁の位置大阪出身の私が東京に来て感じた違いは色々あるが、大阪らしいなと愛着を感じた違いは、味噌汁の位置だ。大阪は左奥で、東京は右手前。伝統的には右手前だが、メインディッシュがどーんと手前にいたほうが見栄えが良く、食欲をそそる。だから大阪の商人気質と食い倒れと呼ばれる食文化がそうさせたそうだ。 そんな大阪への愛”国”心をもった私も(笑)、就活では、残念ながら大阪にIT企業の求人は少なく、やむおえず東京に来て10年が経った。 社会課題をスケーラブルなビジネス

令和四年 弥生 つづく

春彼岸で京都へ、そして倒れる春彼岸でお墓参りに京都に行ってきた。今回の京都での目玉は、「あんこの本」を読んでから、行ってみたかった中村製餡所である。 中村製餡所は、明治41年に京都で創業し、伝統の製法を守り続けている製餡所だ。江戸時代、小豆の煮汁からでる泡で、道具を洗うときれいに汚れが落ちるので洗剤として使われていたが、今でも同じ方法で続けている。 このお店に限らず老舗では、従来の業務プロセスを維持していることが多い。これは、代替わりをしながら様々な歴史が重なって、現在の味

令和四年 如月 わかる

コハダって英語でなんて言うんでしょうか …と鮨屋で聞いてみた。「外国の方が、コロナの前はよくいらしたので、私達も調べて英語で説明はするんですがね。見て食べていただいたほうが理解は早いですね。」と回答され、笑わせてもらった。気になって、後で調べてみてみると、Gizzard Shadという英訳があるそうだが、コハダは出世魚としてシンコ・コハダ・ナカズミ・コノシロと名前を変えて成長していくため、その品種全体を指す言葉として使われているようだった。 江戸前寿司を代表するネタのひとつ

令和四年 睦月 ふつう

いつもと違う、いつもの御節「今年の御節はどれにする?」 年末になると家族が、候補を3つ以上は用意して必ず聞いてくる。私は毎年、これまで食べたことがないお店のものに票を投じていた。だから、年始には「ここの御節は、こういうしつらえなのね。」と面白がっていただくのが通例だった。 それが今年は違った。「今年の御節はどれにする?」に、「去年と同じで」と珍しい返事をした。そう答えたのには理由があった。30歳を迎えて、自分の中で普通(ふつう)を増やして特別を減らしたいと思い始めたからだ