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フィラデルフィアのオープン・ストリート ― 都市の移動手段の再考

case | 事例

フィラデルフィアは欧州やアジアでの取り組みを参考に、中心市街地を歩行者にとってより快適に過ごせる「オープン・ストリート:ウェスト・ウォルナット」プログラムを9月に実施する。このプログラムでは9月の日曜日の午前8時から午後6時まで中心市街地の一部を車両通行止めにして、道路を歩行者天国に変え、ショッピングや食事、あらゆる年齢層向けのアクティビティに適したスペースとして提供する。住民や観光客が車の往来の喧騒から解放されて、そのエリアを楽しむことができるようになる。この革新的なアプローチは、歩行による健康増進と幸福の促進だけでなく、地域経済の活性化も目指している

フィラデルフィアは全米で最も歩きやすい都市のひとつに選ばれいるが、近隣住民や来訪者間の交流を促進することを通して、道路を共有の公共スペースとして再生することを志向している。沿道の店舗やレストランは、歩行者の通行量の増加に対応するため、歩道に席を拡張する予定で、また、多くの企業が、この日曜日にユニークなプロモーションやアクティビティを提供し、多くの顧客を呼び込む機会を楽しみにしている。このプログラムが秋の「センターシティ・ディストリクト・レストランウィーク」と重なることから、飲食の販売はルート沿いのレストランのみが担当し、多くのレストランが特別なインセンティブや割引を提供することになる。屋外での飲食は拡大されるが、家族連れや個人客に安全で快適な環境を提供するため、飲食店利用客はアルコール飲料を持ち込むことはできない。

ショッピングや食事以外にも、来場者は歩行者天国となるエリアで ライブ音楽、ダンスパフォーマンスグループ、ゲームや歩道アートなど家族向けのアクティビティなどのエンターテイメントを楽しむことができる。オープン・ストリートは訪れる人々にユニークな体験を提供することで、コミュニティを構築し、商業活動を支援する以外に、このイベントをきっかけに、買い物や食事、探索を目的に郊外から市内に足を運んでもらうことも期待されている。

insight | 知見

  • 記事には、欧州都市の事例を参考にしたマレーシアのジョージタウン(ペナン州)とフィラデルフィアの取り組みを比較していますが、ジョージタウンでは公共交通機関を効果的に統合する必要性が強調されていることにも触れています。フィラデルフィアは地下鉄網が整っていて公共交通で都心にアクセスできるからこそこのような歩行者天国プログラムの実施が可能なのだと思います。

  • 記事にあるような歩行者天国にせせり出す飲食店舗の制限やアルコールの扱いなど、プロジェクトを実施することで得られる運営ノウハウがあると思いますので、日本の都市でも都心のまちづくり協議会などエリマネ団体が中心となって道路の活用に取り組むことで、都心の自動車交通の削減と活性化につながる経験を蓄積できるのではないでしょうか。