小説:母斑~Vofan~ chapter4
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祖母の葬儀も終わり、四十九日法要も恙無く済んだ頃、季節は冬から春に変わり、サトコは短大二年生になっていた。周りの同級生は就職活動を始めている、自分もそろそろ行動しなければならないと、サトコはぼんやり考えていた。モトオとの交際は相変わらず続いていた。モトオとサトコは同じ飲食店でアルバイトとして働いていた。サトコは学生だが、モトオは正社員として就職しているわけではなくフリイタアであった。サトコから見ればその何処にも所属していないという自由さが魅力であり、一方で頼りなく思えるのだった。サトコはモトオに将来についてどう考えているのかを問うたことがなかったが、また自分自身についても同じであった。やりたいことが出来て、行きたいところへ行ける人生を、いつまでも続けたいという思いだけがあった
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