あなたの中のわたし、わたしの中のあなた|裏の畑Body work部
月に一度通っているシュタイナーの絵の教室の前半で、からだのワークや講座の時間を持たせてもらっています。
先月は、わたしの中にいる相手を感じよう、というワークをしてみました。
わたしの中の相手。どういう意味でしょうか。
普段わたしたちは、自分のことを「個」と認識して存在しています。
西洋的な「個」として自立して存在するのがよし、とされる考えが一般的になった現代は、この傾向がとても強い時代かもしれません。
しかし、一見「個」としてバラバラに存在しているように見える私たちも、根幹にさかのぼると同じものを共有しているという考えもあります。
心理学者・ユングのいうところの集合的無意識。
師匠のフロイトと袂を分つきっかけになった彼独自の考え方でもありますが(晩年フロイトはユングのこの考えを認めていたという説もありますが)、たとえば文化や地域が違えども似たような神話体系があったり、ある時代からあらゆる地域で太陽神がメインの信仰対象になるなどのシンクロニズムにユングは注目しました。
個の深い領域へ沈潜していくと、個と集団の境目がどんどんあいまいになり、全てがつながりあっているような感覚を覚えることがあります。そういう感覚に入る時、人は集合的無意識に触れているのです。
さて、ワークに入ります。
この日は、雨音が建物にとても美しく響いている日だったので、最初に、目を閉じ、雨音に耳を澄ませ、静かに座り、感覚を整えました。
わたし達は普段情報のほとんどを目から入ってくるものに頼り、外界を認識しています。
けれど、目を閉じ、耳から入ってくるものに心を傾けてみると、今まで自分の生活の背景におしやられていたようなものが自分の元へ還ってくるような感覚を得られるでしょう。
大切なものは目に見えない。
けれど耳を澄ませると聴こえてくるものが確かにあります。
前回は、それぞれが自分のカルテをつくり、処方箋を出しました。
今気になっている自分の身体の感覚や症状を丁寧に、言葉や色や形などに落としてワークしていきました。
今回はペアワーク。
お互いに描いたカルテを並べて見合いながら、自分の絵との共通点を探したり、二つを一枚の絵として感じた時にどのようなテーマが生まれるのかを身体を動かしながら探究していきます。
そして最後に、二人で処方箋を作りました。
それぞれの「個」の深いところには全体とつながる部分がある。そして、一度「自分らしさ」を緩めてみると初めて見えてくる相手の姿があることに気がつきます。それは巡り巡って、自分でもまだ知らない自分らしさを表してくれる部分でもある。
処方箋が出来上がっていくプロセスを見ながら、改めてほんとうにそう感じました。
わたしの中にあなたがいる。
あなたの中にわたしがいる。
その感覚の中へ入る時、ほんとうの意味でお互いの多様性が理解できるのではないかなと思って、講座を作ってみました。3回で完結予定でしたが、ありがたいことに次回からは定期開催にしていただいたので、季節と身体の関係性についてもワークしてみたいと思います。
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さて、後半はバトンタッチして、水彩画とフォルメンを教えていただきました。
まず、薄く赤を紙全体に伸ばします。今日の「海の生き物」とのことですが、え!?海!?
さて、何を描いているのでしょう。このフォルム、きっと鯨だ!と勝手に当たりをつけるも・・
あれれ?
正解は・・
イカ!
イカは予測不能とか、個をこえた部分での変容の象徴なので、なんだか今の状態にとてもシンクロするところがあって面白かった。
そしてフォルメン。
この日はなんと講座の最後の時間、お庭にぴょっこりと小さな野うさぎがお出ましに。まるで春分の時期のイースターバニーが何かをお知らせにやってきたような不思議な予感を感じさせる一日でした。
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