「エッジ」って何ですか?|裏の畑Body work部『十牛図のワーク』
月に一度のシュタイナーの絵の教室「裏の畑」。後半のBody work部で『十牛図のワーク』を担当しています。前半の部の絵の教室はこちら↓
9月20日。
秋分を目前に控え、夜が深まっていきます。シュタイナーは、秋は闇の深まりとともに、人の内側では影との戦いがはじまると言いました。この日は、自分の中の影の部分(牛の領域)と目に見えている現実(牧人の領域)の境界である『エッジ』について学びを深めていきました。
ユング派の心理学者、プロセスワークの創始者であるアーノルド・ミンデルによると、エッジとは、一次プロセス(牧人の領域:自分が慣れ親しんだ領域)と、二次プロセス(牛の領域:自分でもわからない道の領域)の間にあるもの。時には自分を守ってくれるものであり、時に変化の妨げとなる、門番のような機構です。
それは、「本当は〇〇がしたい」という欲求の次にやってくる、
「でも・・・だからそんなのできないよ」と行動にブレーキをかけてしまう時に見つけられます。
そして、その「でも・・・」の中には、自分がこれまで培ってきた「信念」が隠れています。
例えば、
「本当は一人旅がしたい」という欲求があったとしましょう。
しかし、それを実行に移そうとしたときに、「でも、子供がまだ小さいからそんなことできない」という思いが浮かび、行動にブレーキがかかります。その奥には、「子供は母親が育てるべき」だったり「母親は自分よりも子どものことを優先するべきである」という信念が存在することに気がつくかもしれません。
こういった信念に気づいていることが大切です。気づいていると「本当にいつもそうなの?」と自分に対して問い直すことができ、「じゃあ、半日だけ近場に旅行に行こうか」など柔軟な案が思いつくかもしれません。また、家族に正直に打ち明けてみることではじめて子育てに対する想いや、一緒に子育てを楽しむ環境を作るためのアイデアを共有するきっかけが生まれるかもしれません。
この日は、
「本当は〇〇がしたい」
「でも・・・だからできない」
と自分が思っていることをたっぷりと味わって、その奥にどんな信念が隠れているのかを考えてみました。
牛の力が牧人の力より勝る時、カチカチに凝り固まった現実の輪郭をググッと押し広げてくれます。しかし、牛の力が強くなりすぎると「全部壊してしまえ!」という大きすぎる破壊の力や、現実を否定する力に傾きやすいことも事実です。
逆に、牧人の力が牛の力より勝る時、内側の衝動を現実を歩む力に変えてくれます。しかし、牧人の力が強すぎると、訓化されすぎた牛は生命力を失います。そして、「全てをコントロールできる」という傲慢さに傾きやすくなります。
その間で「今、わたしはどのように生きるべきか」という絶妙な塩梅を選択できるかが大人の醍醐味。これが、シュタイナーのいうミカエルの「意思の力」なのだと思います。牛と牧人の領域を隔てる『エッジ』にひとたび触れると、いつでも揺さぶられ、その度にミカエルの力が磨かれる感覚に目覚めていくでしょう。
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今日もえいちゃんがおやつを作ってきてくれました。
ホックホクのスコーン。
本日の素敵な写真も、
寺子屋てらこ・ホームスクーラーのゆかりさん。