もっとも素晴らしい創造は本当にささやかに始まる|シュタイナーの絵の教室・裏の畑
月に一度のシュタイナーの絵の教室、「裏の畑」の日でした。
今月の水彩のテーマはきのこでした。
きのこは不思議な植物だ。相手に向かって大きく自らを開く花々と違い、きのこはまるで大事なものは自分の内側に秘めているかのように傘を広げる。
まず暗い青(プルシャンブルー)できのこの周りに立ち込める、秋の空気を描いていく。
「あった!」
パッとそこにスポットライトが当たる。きのこはよーくよーく感覚を研ぎ澄ませて観察すると、実は至る所に生えている。そして一つ見つけると、次々に見つけることができる。きのこにまるで感覚の全てを委ねているかのように。
木の根っこの赤が現れました。これは母なるものの象徴。
わたしがこの赤を入れた時の印象は「えー・・・お母さん来ちゃったの・・?」でした(笑)。今いい所だったのに気分が冷めてしまうじゃないの、と。
そのスポットライトの中にきのこが姿を表していく。
母の愛に守られる安心感と、でももっと囲いを取っ払って自由にやりたいという想いが交差しながら次々にきのこが姿を見せる。わたしの心象風景が絵に投影されていく。
きのこの傘や根に青が入ると、どくどくとした生命力の中に落ち着きが広がっていく。先ほどまで赤々と画面のあらゆるところを走っていた根は渋く枯れた味わいを帯びていく。
最後に葉っぱを描く。このプロセスが楽しくて、ついつい描き過ぎてしまう。途中で「そうだ、今回のテーマはきのこだった!」と我にかえり、賑やかになった画面から顔を上げ、一息つく。一番初めに描いたファンタジックなタッチのきのことのコントラストの差を感じながら、これ以上描くのはよそうと思った。
本当に大事なことは、もっとも素晴らしい創造は、本当にささやかに始まる。
そんなメッセージを受け取った気がした。
最後、みんなの絵を並べて見比べると本当に賑やかで、今までこの教室で書いたぬらし絵の中で、もっとも沢山の色が登場していたように感じた。
絵の時間、後半はフォルメンです。
うねり、うねり、うねり・・。
わたしはすぐに形に入ることよりも形を脱することの方に衝動が走りやすい気質なので、フォルメンの時間はどちらかというと修行、というか武術の型を習得しているような感覚だ。
あーでたい・・形から外に出たい・・という慣れ親しんだ欲求をいなしながら、体の感覚を形の中へと注いでいく。回を重ねるごとに、形になっていくことの幸せみたいなものを少しずつ感じられるようになり、毎回とても新鮮な驚きを感じています。わたしの中にはまだまだわたしの知らない衝動が、創造の世界があるようです。