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『苦しい時は電話して』

坂口恭平さんの著書『苦しい時は電話して』を読みました。文字通りに苦しい時に、図書館で背表紙を見つけて、すぐに借りました。
坂口恭平さんは、自分の電話番号を公開し、死にたい人を対象とした相談サービスである「いのっちの電話」を行なっている人です。自身も精神疾患を抱えており、その視点から紡がれる言葉たちには確かな重みがあります。とても役に立つ本でした。内容をまとめておきます。



・死にたいは熱が出ているようなもの
「行き過ぎた反省が、自殺なのです。」まずは反省をやめること。
反省熱が出ているな、くらいに思って、脳が体を休ませようとしているのだと理解する。
「死にたい」に内蔵された細かな欲望に気づくこと。下に繋がる。↓

・「体が気持ちいい」と感じることをやってみる
朝二度寝をしない、顔を洗ったり歯磨きしたり、朝ごはんだけでもつくって食べてみる。死にたい人は皆お腹がすいている。←この観点はびっくりしました。確かにそうかもしれない。私も気分が塞いでいる時は食欲がなくなるので。個人差はありそうですが……
つらくても、悩みが増殖してしんどくなっても普段通りを装ってみる。「何か悪いことが起きそうな気がしますが、何が起きるのかと具体的に考えると、実ははっきりしていないのです。」
「体を動かしても、必ず気持ちは揺らぎます。敏感な状態であることには変わりない。それでも“気持ちがいい”と感じることが少しずつ、あなたを楽にしていくはずです。」

・気持ちいい行為に対して欲望が湧く。死が気持ちいいと思っているから欲望が湧いてしまう。
悩みから逃げたくて、死が気持ちいいものに見えてしまうけれど、誰もわからないのだから最後まで取っておきましょう。

・鬱状態から抜け出せないと思い込んでいるだけ(それを自覚したとて難しいが)
とにかく周囲に言葉で知らせる。家族や友人。そうしないと「ここから抜け出せない」という強い妄想からは離れられない。

・その日の過ごし方を決める
人に決めてもらうのでも可。時間が経たないのは、時間の過ごし方を決めていないから。
健康に過ごせていた時期はいつか?その頃のスケジュールを思い出し、忠実に過ごしてみる。たとえば小学生の頃など。
すぐにできることとしては、明日の寝るまでのスケジュールを決めておく。休憩も組み込むのが必要。

(電話例:自傷する女性→大掃除はどうか?紙を切り刻んだりして、少しはマシになるかも)

・心臓が休むためにぎっくり腰になるという考えもある。鬱状態も似ているのではないか?
とにかく横になりたいのは心臓を休ませるためだと思えば気持ちも幾分か楽になるはず。

・他の思考回路をつくりだす 
筋トレなどでも一時的に離れられるという意味では頓服になる。自分だけの頓服をつくること。←私は薬や自傷へ流れるのをやめる一歩として軽いランニングを始めました。かなりいい。

・死にたい人は「笑っちゃうくらい向上心があり、楽しいことを求めている」
何をやっても満足できない体質であり、自分が納得できるものを掴みたい、努力は惜しまないという意気込みに溢れている人であるとも言える。

・「体に合うことをすると決めた」
「自殺せず、飢え死にしよう大作戦」←目からウロコでした。死ぬくらいなら好きなことをする、単純に聞こえるけれど相当な覚悟が必要なはず……

・迷わず嫌なことをやめる
仕事が原因なら辞める。死ぬよりは、嫌なことが全くない状態で一度考えてみた方がいい。

仕事を朝早くにひとつ終える
↑これ、難易度は高めだけれど1日が楽になりますね。

・「つくる」ことに向いている
「あなたにしかできない時間の過ごし方を見つける。その過程自体が創造だと思います。」
「全てを観察して書き出すことがあなただけの表現になる。今しか感じられない経験をしていることにもなる。」

・「思いついたことを、端から思いついた順にやっていき、飽きたらやめ、面白いと思ったら、飽きるまでとことんやる。」
「今まで生きてきて、やってきた中で、一番マシだなと思うつくることを見つけてみましょう。」
時間の過ごし方を見つけ、そこにアウトプットを入れると、楽になるだけでなく時間が少し充実する。コピー用紙に鉛筆で絵を描くなどでOK。

・体はやる気があると考える
不安な時はアウトプットを優先。インプットは一旦諦めてみる。←Twitterを見るのをやめて、文章を書くことに集中してみたら、かなり楽でした。
「続けることで確実に変化します。1年も続けたら、すっかり変わっていることに気づくと思います。」

・悩み続けることも積み重なってはいる、という意識。
無駄ではない。

・「死にたい時は産みの苦しみを味わっている」
「死ぬか産み出すか、死ぬかつくるか」←極論だなあと思いつつも、納得もしました。
「死ぬのも、つくるのも、大変です。いっそのこと、何かを生み出して、それで力を使い果たして、野垂れ死にしましょう。それなら清々しいじゃないですか。その覚悟でやると、何でもできそうな気がしますし、実際何でもやれると思います。」
「今は自分で日課を考え、行動ができます。それをとことんやって飢え死にしてもいいじゃないですか。」


最後に痺れた一文を。
「人生に意味はないので、問うても苦しいだけです。でも、素晴らしくないですか?人生に意味はないのに、そこに意味をつくり出そうとしているってだけで。」

実践的で心の支えになる本でした。

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