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包丁

 皆んな大好き包丁。刃物ってなんかワクワクするやろ?

 秘密基地、長い棒、刃物。これは男子なら無条件でワクワクする物達。これはもう遺伝子レベルで刻まれている "サガ" なんですよ。

 私は仕事が調理師なもんで包丁は結構持っている。これは自分の性分なんか収集癖があるので集め出すとアレコレ買い漁る。

 調理師、特にホテル、旅館なんかで働いてる人間は周りがそうだからか包丁は一通り持ってると思う、別業種の人からしたら職場で使う道具を自分で買うってのが理解できんらしい。

 まぁ職人の世界の伝統的なもんなんすかね。私は職人なんて立派なもんじゃないけど。

 調理師、特に和食は鍋職人と包丁職人に分かれる気がする。鍋職人ってのは味付け、調理好きな人。包丁職人は切ったり並べたり剥きものが好きな人。なんか分かれるんよな。どっちがいいとかではないけど。

 んで包丁職人みたいな人って刃物マニアみたいになっていくよね。

 そんな包丁も今は海外からの人気が凄いらしい。だって日本の包丁ってカッコ良いからな。あとよく切れるし。

 そのせいで各メーカー、こんなん使ってどうするんや?って派手なカスタムナイフが溢れている。

 いや、絶対使いにくいやろ。としか思わんけど見た目はカッコいい。確かにワクワクを感じる。クッソ高いけどな。

 この前包丁研いでて無意味に撮影会したから自慢するぜ。

堺實光プレミアムマスター2牛刀300m

 今の職場で使ってるのは5本。まずは堺實光のプレミアムマスター2の牛刀300ミリ。

 これはね、いいぞ。鋼が銀3の片刃やから洋包丁っぽいけど和包丁みたいな切れ方する。銀3は錆びないから良い。そして硬くて欠けにくくて切れ味が長持ち。
 今使ってる包丁は全部銀3。手入れが雑すぎてすぐ錆びるとかではない。生け簀があって海水つかうからマジですぐ錆びるんが嫌なんや。

 銀3?はい意味がわからないですよね。

 包丁って刃が薄く鋭く尖ってるから切れるんじゃなくて、芯に鋼材が入っててそれをステンレスで挟んでる構造になってる。実際に切れるのは鋼材で鋼材を研ぎ出す事で切れるようになる。その鋼材の種類の名称が銀紙3号、通称銀3。

 銀3はステンレスやから厳密は鋼ではないんやけどな。まぁ細かい事は知らん。こちとら使うのが仕事よ。

 片刃とか両刃ってのはその鋼材が片方についてるか真ん中に入ってるかの違い。なんでそうなっとんかとかは知らん。

 牛刀って名前の通りこの包丁は牛肉切ったりするって用途らしいけどこれで肉切ってる人間を見た事ない。普通に野菜切るのに使ってる。 

同じく堺實光プレミアムマスター2筋引き300m

 次も同じく堺實光プレミアムマスター2の筋引き。 

 前に使ってた筋引きは堺孝之のグランドシェフシリーズのナロースライサー。まぁよく切れるよ、グランドシェフは。ただなんか柔らかいんよな。
 そこで色々調べて行き着いたのが堺實光。銀3ええやんと思って買ってまたら調子良くて牛刀も買った。

 ただ洋包丁やのに片刃らしく研ぎ方が最初分からんかったな。和包丁みたいに裏すきがないから裏研ぐ時なんか当たっとんかどうかわからんのよな。なんなら当たってないと思うし。 
 試行錯誤の結果裏研ぐ時に気持ち峰の方を上げ気味にして研ぐと良かった。
 完全な片刃って訳では無いんかな。鍛冶屋じゃないからそこまでわからんけど。

堺實光の銀3出刃多分150ミリ

 これも同じ。今の職場になって海水で馬鹿みたいに錆びるから銀3にした。

 大体の魚はこれで事足りる。前は旅館で仕事してたけど謎に包丁はデカくないといけないって感じだったけどデカい出刃って重いし疲れる。これくらいのサイズで十分やと思う。尺がたりんデカさの魚ってよっぽどよ。

 値段はたしか5年前くらいで4、5万くらいやったような。

 和包丁の花形と言えば刺身切ってる包丁と思いきや値段が高いのは出刃なんよね。単純に金属の量が多いからな。

 錆びないし使いやすいけどいかんせん出刃研ぐの苦手でポテンシャルを発揮し切れてない。一回金物やに研ぎに出したら引くくらい切れる様になった。やっぱり。

堺實光銀3の出刃240mか270m

思ったより長くなってきたな。同じ出刃のデカいやつ。これはマグロ捌く時にしか使わん。

 まぁまぁ高い。7万くらいしたんかな。

 不思議とこっちは研ぎやすくてめちゃくちゃ切れる。

 出刃研ぐ時ってしのぎ筋に当てるんじゃないと思うんやけどちゃうんかな?しのぎスジのとこから刃つけたら鋭すぎて骨当たったらすぐに死ぬくない?

 なんから金物屋さんに教えてもらったのは一番と2番があって2番に当てないかんのやって。んでたまに1番も当てると食いつきが良くなるらしい。 
 正直なんとなくしかわからん。あと裏は軽くでええんぞって念押された。お前は裏研ぎすぎ。せっかく刃が出なのにそれを消してるって言われた。

 マジで包丁研ぎは深い。

堺孝之シェフ和包丁一尺

 これはかなり昔に買った柳刃。これも銀3。まぁまぁちびたしもたな。使い込んだ包丁はちびる、ってのは誤解で包丁って研ぐとちびるんよね。

 包丁がすぐちびるって言う人はよく研いでいる。でもちびる速さって使ってる砥石にもよると思うんよね。
 調理師がよく使ってる砥石と言えば通称、赤門前。赤茶色のレンガみたいな砥石。絵に描いたような砥石。この番手が1000番なんよね。当たり前に使ってたけど1000番って中荒砥になるからそりゃすぐちびるわな。

 この辺の話は長くなるしめんどいからやめよう。まぁ好みの切れ味による。甘切れじゃなくて食いつきが良いのが好きな人は1000番やろね。仕事も早いし。

 因みに私が使ってるのはシャプトンの2000番と刃の黒幕5000番と8000番。セラミックは良い。刃の黒幕は高いけど凄い良いぞ。

 何の意味もない自分語りでしかないけど包丁はいいぞ。

 あと趣味の話と通じるけど包丁とロードバイクは似ている性質がある。どれだけ高くてカッコ良い包丁も研がないと切れないし使う人間の腕がないと何使っても同じ。ロードバイクもどんなに高いハイエンドモデル買っても乗り手のエンジンがショボかったら速くはない。でもどちらも所有欲を満たしたり、他人に自慢できたり、コレクションとして眺めたらと良い事もある。

正本の身おろし出刃。金物屋に研いでもらってビカビカ
堺孝之の青2尺一柳刃7万くらいするぜ。

 今は使ってない包丁。包丁バッグの肥やし供養。青2はやっぱり違う。マジでめちゃくちゃ切れる。個人的には切れ味はこっちの方が好き。錆びるから使わないけど。デカすぎて邪魔やし。まだまだ洋包丁もバッグと家にある。こうやって考えるとまぁまぁ持ってるよな。

 ほぼ使わんけどな!

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