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あなたがセーブしたい時間は、どこですか?『クイックセーブ&ロード』感想
セーブというと、ゲームが連想されます。
ゲームが一般的となった今の時代ですが、ファミコンが現役だった時代では、その機能はあまりありませんでした。
だからこそ、この機能。
ロールプレイングゲームといった、長時間遊べるゲームでは、必要な機能であると思いますね。
で、なぜこんな話題をしているのかというと。
今回ご紹介するライトノベル、鮎川歩先生の『クイックセーブ&ロード』(2009年8月刊行)が関係しているからです。
本日は、「人生でセーブが出来たなら」がテーマとなっています。
謎めかしいあらすじ
今回は、出版元である小学館のライトノベルレーベル、「ガガガ文庫」からの引用です。
榊君にとって、今は何度目の今日なのですか?
頭の中で強く「現状をセーブしたい」と思うだけでいい。
脳に針を突き刺したような感覚が走れば「セーブ」は成功。
あとは死ねば人生が「リセット」され、「セーブ」した過去まで巻き戻される。
そしてまた僕は屋上から飛び降りた――覚悟もなく、遺書も書かずに。「さようなら、サカキキヨト」……その時、向かいのビルに動くものが見えた。
闇の中を、自分と同じく落下してゆく少女の姿。地面との衝突寸前、彼女がふと、こちらに視線を向けた――その顔を見て僕は驚く。なぜならそれは、まぎれもなく“あいつ”の顔だったからだ。
クールな筆致の推理ロマン傑作! 第3回ライトノベル大賞優秀賞受賞作。
はいそうです。
今回は、ミステリー仕立てのライトノベルとなっています。
セーブという名の、タイムリープもの
この作品の最大である、主人公が特定の時間で、「セーブ」できるという能力ですが。
過去にタイムスリップできる能力といってしまえば、理解できるでしょうか。
それも「記憶を引き継げる」、「何でもやり直しができる」、「周りの環境はリセットされる」といった風に。
私としては、「かなり便利な能力だなー」と思ってしまう能力なのですが。
それ故に、主人公は葛藤します。
まあ、中学生という設定なので、致し方ないのですが。
ただ、誰にも言えないし。信じてもらえない。
それは仕方ないのかもしれません。
だって、説明のしようがないですし。
それが、分かりやすい文章で描かれていて、感情移入できます。
ポイントの話をする前に
最初に言っておきます。
この作品、非常に憂鬱としています。
最初のシーンでもそうなのですが。
主人公の自殺のシーンから始まります。
そこで、とある人物を目撃するわけなのですが。
まあ、この後の展開も暗いです。
明るい作品が見たい人にとっては、あまり受けが良い作品でないと思いますね。
で、結局、この作品ってどうなの?
まずあらすじを端的に言えば。
「人生のある一部でセーブ出来る主人公が、死ぬはずだった幼なじみの少女の運命を変えるために、奔走する」話です。
そして、ポイントですが。
セーブした場所へ戻り、運命を変えるために主人公が走る中で、様々な人間模様が見えてくるのが、面白いポイントです。
あの人物は、実はこうしていたとか。
また別の人物は、実は裏の顔があった。
みたいな形で、それがループしていく中で、どんどんと分かっていく。
そして事件の全貌へと展開していくというのが楽しい所です。
ただ、ね
他のレビューでも書かれていますが。
この作品。
主人公が、変なところで凡ミスします。
それ故に、ミステリーとしては、イマイチであるといった感想が見えます。
でも、と。私は言います。
主人公は、名探偵ではありません。
能力を持ってはいますが、普通の中学生です。
ですので、この凡ミス。私は、特に気になりませんでした。
だって、ライトノベルですし。主人公はまだ子どもです。
某めがねで蝶ネクタイの小学生と比べるなんて、ナンセンスです。
だって、あの世界は特別ですし。
まとめると
新人でかつ、タイムリープもののミステリーとして、1巻にまとめている、この作品。
なかなかの完成度ではないかと思います。
また、本格的なミステリーとしてでなく。
ライトなミステリーものとして見てもらうのが、良いかと思います。
kindle unlimitedでも配信されているみたいですので。
ご興味がありましたら、どうぞ。