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『諏訪市博物館で必ずやるべきたった1つのこと』 ー 魂の語り部 ー


上諏訪駅近くでレンタカーを借りる。最近はほぼタイムズカーシェアを利用している。不意に、「車で移動したいな」と思った時にすぐ借りることができるからだ。予定を決めずに動くことが多い私にとって、非常に便利な存在である。

藤森照信さんの「そらとぶ茶室」がこの諏訪にあることをGoogle Mapを眺めながら初めて知る。やっぱりちゃんと調べて動くのが良いのだろうが、これも日頃からフックがあるから引っかかるのだと自分に言い訳しながら、急いで予定を組んでいく。

藤森照信の「そらとぶ茶室」を軸に、諏訪大社上社、高島城、諏訪市博物館などを組んでいく。半日で回ることができるルートだ。


そして、僕は諏訪市博物館に辿り着いた。


諏訪市博物館HPより抜粋

上諏訪駅から来るまで15分、午前中の道路は混んでいるところもなく会っという今に到着。駐車場は無料で広い。


入口からホワイエに一直線に引かれた「時間の軸線」

入口から中庭の原始的な遺構を彷彿とさせるPyramidalなオブジェまで「時間の軸線」が直線に伸びている。この先には何があるのだろうと、解説を探すが見つからない。

時間の軸線から延長された線

恣意的な線であるからには、何らかの意図があるのだろう。それすら来館者に任されているのだろうか。あるいは私の単なる見落とし?

「絶え間なく流れる諏訪湖の水の流れ」を表しているとのことだが、この軸については触れていない。唯一パンフレットに「Slit to the Earth」「Chromo Axis」と述べられているにとどまる。
Google Mapでこの軸上を伸ばしておそらく「真西」を差しているのではと推測。

西、日が沈む場所。春分・秋分の光。西方浄土・補陀落渡海。

そういった古代的郷愁、または郷土的、ここでは諏訪信仰を象徴するものとしてデザインされたものなのかもしれない。解釈は観者に委ねられる、託される。入口から素晴らしい造形。

◎どうしても伝えたい、この「なんとなく線を入れちゃいたい気持ち」


縄文土器に刻まれた線

このちょっと後づけしたところ(丸印)。

「そこ、5本くらい線引いちゃいたいよね!」

という場所に、まさに、その通りに線が引かれている。
妄想で良いので想像してほしい。もしここに何も線がなかったから、あなたなら何本線を引くか。
その現代人である(だと思う)自分とほぼ同じ感性で線が引かれている。
6000年ほど前の人間とほぼ同じ感覚を持っていることに驚きと面白さを感じる。
この線が残っているということは、誰が確実に6000年ほど前に何か棒切れを片手に線を入れたのだ。


絶対行くべき場所!


それは、2階にある突き当りにあるアニメコーナーである。常設展示室1の最奥。残念ながら写真は禁止なのでパンフレットから拝借する。

諏訪市博物館パンフレットより

青い天井イルミネーションの下、ぜひ土器を堪能しつつ、期待を胸に奥へと進んでいってほしい。
そこにはアニメコーナーがあり、「諏訪信仰の謎がたり」が設置されている。


諏訪市博物館HPより

謎語りである。もうそれだけで胸がワクワクしてくるじゃないですか。

竜蛇伝説の甲賀三郎伝も素晴らしいが、ぜひぜひ堪能していただきたいストーリーがある。勿体ぶって失礼しました。本題です。これは必見!

『武田信玄の石棺』

もうすごいのである。文体が変わってしまって申し訳ないが、心が揺さぶられるのだ。内容は、武田信玄が臨終の際に、「瀬田橋に我旗(風林火山)を立てよ」と言った逸話や、信玄の御柱が石棺に入れられ諏訪の湖底に沈んだという逸話が語られる。

内容もすごいのだが、それを語る、『語り部:竹村澄子』がすごいのである。

『語り部:竹村澄子の凄み』

元も子もないこと言ってしまう。

もう、聞くしかないのだ。魂の朗読とはこのことか、と胸が震えるのである。
本を読んでいる、それだけなのだ。それだけなのに、胸に迫ってくる。高齢の女性特有の声帯の震え、本を目で追いながら読んでいる、はずなのにその言葉一つ一つが繋がっている。
 滔々と流れる水量の多い大雨の後の濁流。いたるところで言葉が滞りながらも、濁流のように物語に飲み込まれていく。

諏訪の古代を代表する縄文土器の先に、この「語り部」は私達を待ってくれている。

行くしか、聞きに行くしかないのである。

ぜひ、魂の語り部を 堪能していただきたい

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