教育支援センター支援員のジレンマ
校外教育支援センター(以下、センターとする)は、基本的に、不登校及びその傾向のある子どもの「安心・安全」な「居場所」として自治体(教育委員会)が設置しているものです。
最近では「校内教育支援センター」の設置も進んでいますが、それでも学校に行けない(敷地内に入ることができないなど)子は、担任などに勧められて通所しています。
言うまでもなく、不登校の子というのは学校に何らかの抵抗感や諦め、時には恐怖などの感情を抱いています。
だから、センターはできるだけ学校を感じさせない空間であることが必要だと思います。
そうした空間だからこそ、子どもたちは安心してセンターに来ることができ、ゆったりと過ごしながらエネルギーを充填していけるのです。
学校と同じ場であるなら、センターに意味はありません。
ところが、今でも多くのセンターでは学校と同じルールを採用しており、学校に準じたルールによって運営しているところも少なくありません。
例えば、ゲームの禁止、携帯電話・スマホの使用禁止(あるいは許可制)、茶髪・ピアスなどもっての他など。
これでは、一度来ただけで「ああ、ここも同じだ」と感じて子どもの足は遠のいてしまいかねません。
センターでのルールは、他の子の活動をじゃましないこと、そして周囲の子に危害を加えないことの二つでだけでいいと思います。
いや、本来はそうすべきです。
ところが、そういうことを指導員が口にすると、教育委員会や教員から批判を受けます(私の住む地域が田舎だからかもしれませんが)。
「そんなに甘やかしてどうする」とか、
「スマホOK、ゲームOKなんて言ったら学校で頑張っている子がセンターに行きたがる、わざわざ不登校を増やすようなものだ」などなど……
「できるだけ、学校を感じさせないようにしたい」と公の会議で発言しただけで空気が凍りついたこともありました。
センターが学校現場から敬遠されると、子どもや保護者への紹介が減ってしまいかねません。そうなればセンターを必要としている子が、結果として居場所の一つを奪われることになります。
だから、私はゲーム禁止と携帯電話・スマホの使用禁止だけは、受け容れることにしました。
でも、「ゲームはだめだよ」「スマホは使わないでね」と言った時の、何とも言えないさみしそうな顔を見るたび、本当にこれでいいのかと思ってしまいます。
依然として残る「学校第一主義」と真の安心できる居場所づくりの狭間で
支援員は常にジレンマを抱えているのです。