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日本昔ばなし『ぼんぼぼ』

とんと昔のお話し。

ある山のお寺では、なんでもお経に合わせて変な声が聞こえてくるそうな。

和尚さんが木魚に合わせてお経を詠み始めると、

ポクポク「ぼんぼぼ ぼんぼぼ」
ポクポク「ぼんぼぼ ぼんぼぼ」

という具合だ。

声がするだけで特に害はないのだが、そうは言ってもお経の最中に変な声がするのは困る。
この間は大事な法事の最中に、吹き出す人がいる始末だった。
そしていつの間にか、

「あのお寺には『妖怪ぼんぼぼ』が出るらしい。」

という噂が広まり、人が寄りつかなくなってしまった。

困りはてた和尚さんはこの妖怪(?)を探し出して、出て行ってもらうことにした。

とは言っても、お経の時に声がするだけで、いっこうに姿を見せたことはない。
それで、和尚さんはお経を詠んで呼び出すことにした。

和尚さんが木魚を叩きながらお経を詠み始めるとどこからか、

「ぼんぼぼ ぼんぼぼ」

と声がし始める。
和尚さんがお経をやめると声もやむ。
なんとか声の主を確かめようと、またお経を詠み始めるとまた、

「ぼんぼぼ ぼんぼぼ」

と始まった。
何度かそんなことをしながら、和尚さんが声の出どころを探ってみると、どうも木魚の中から声がするようだ。

はて? これはどうしたものか〜?

と和尚さんは木魚に向かって話しかけた。

「もし〜これ〜ここになんか入っとるんかい?」

聞いてはみたもののいっこうに返事はない。
今度は、

「なんかおるんかいな〜?」ポクポク

と木魚を叩いてみると、

「ボンボボ」

と確かに声がした。
そこで和尚さんが優しく、

「お経の時に、ぼんぼぼ言われて困っとるんじゃが、なんとか出ていってはもらえんかのぅ?」

と聞くと、木魚の中からか細い声が聞こえてきた。

「私も出ていきたいのはやまやまなのですが、外から叩かれるたびに中でぶつかって痛いのなんのって…実はポクポク音がするので何か入ってるのかと裂け目から中を覗いていたら、中に落っこちて出られなくなってしまったんです。」

なんと! 妖怪の声ではなくて、中でぶつかる音だったとは!? 
そういうことなら、、と和尚さんが木魚の裂け目が下になるように傾けてやると、中から小さなノミほどの大きさの妖怪が出てきた。

「ありゃ!? まぁ!!」

和尚さんは驚いたのなんのって、どん!と尻もちをついた。

「あ〜ポクポク叩かれて、もうこんなところは懲り懲りだ〜」

と妖怪がそのまま出ていこうとしたので、

「おーい、名ぐらい言っていけ〜」

和尚さんが言うと、

「ぼんのう〜」

それだけ言って、あっという間に見えなくなってしまった。

それからというもの、このお寺にくると煩悩を祓ってもらえると、お寺には参拝者が絶えなかったとさ。

おしまい。


画像はハウズ店主@noteさんにお借りしました。
ありがとうございます😊
こちらの企画に参加しています💓
くえすさん、よろしくお願いいたします😊🙏💞

なんかみなさんの【#ぼんぼぼ】を聴いていたら
子供の頃よく見ていた『日本昔ばなし』を
思い出してしまいました〜🤣


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