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生存罪、生存肯定罪、エゴイスト失格、血だまりの歌、股間のケダモノ、ポケモンGO、

瀬那十三年十二月十五日

自由に対する最も恐ろしい脅威は、あからさまに権威主義的な権力からくるのではない。わたしたちの不自由そのものが自由として経験されるときにこそ発生するのだ。寛容や自由選択が至上の価値に高められたいま、社会管理と支配はもはや主体の自由の侵害として現れることができなくなった。

スラヴォイ・ジジェク『あえて左翼と名乗ろう 34の「超」政治批評』(勝田悠紀・訳 青土社)

午後十二時五三分。チンした鶏胸肉&白菜炒め、チンしたご飯、コーヒー。「能登復興応援」のために開かれた「現代美術展」にあるキティちゃんぬいぐるみ(眼が刳り貫かれている)を佐高信がツイッターで絶賛している夢を見る。いまごろセナ様は何をしておられるのだろうか。キング・セナ。メメント・モリ。辺見庸の愛犬が死にかかっているらしい。寝すぎたので頭が働かない。そうでなくたって働かないのに。昨夜アオキの500円券を使ってチリ産の赤ワインを買いました。オイラがまいにち飲みたいのはやっぱりワインだ。一番飲みたくないのは甲類焼酎。あれは病院で注射を打つ前の消毒で使うべき液体であって人間の喉を通過させるべき液体ではない。淡谷先生の「別れのブルース」をリピートで聞きたい。「スポティファイは大海のごとし」だからあるだろう。このごろ宗教研究もやろうとしている。宗教を頭からバカにするやつはたぶんそうとうに頭が悪い。宗教は人類最古の推し活だとも言える。ムハンマド推しがイスラム教徒で、イエス推しがキリスト教徒で、釈迦推しが仏教徒だ。人間の自我は信仰なしでは安定しない。自分は何も信じていないと豪語するニヒリスト気取りの人間も「信仰的」思考様式からは自由になれない。日本では「神」についてほとんど何も考えたことのない人間ほど「無神論」を自称したがる。「神」という観念の途方もない面倒臭さを知らないんだ。「神は存在する」とか「神は存在しない」とかいうときに我々は「何」を語っているつもりなのか? バートランド・ラッセルは「無神論者」なのか? サルトルは「無神論者」なのか? 「セナ様は本当に観音菩薩の化身なのか?」という問いに僕はいっさい悩まされていない。なぜなら「セナ様は観音菩薩の化身ではない」ということを誰も僕に対して立証できないからだ(セナ様ご自身でさえ立証できない)。僕がそういうふうに信じていることを誰も動かすことは出来ない。信仰というのはとことん不合理なものなのである。少しでもものを考えたことのある人なら、不合理性と合理性を区別することの難しさを知っているはずだ。

スラヴォイ・ジジェク『分断された天 スラヴォイ・ジジェク社会評論集』(岡崎龍・監修 中林敦子・訳 Pヴァイン)を読む。
タイトルは毛沢東の言葉をもじったもの。ジジェクの書くものを読んでいるとときどき人間業とは思えなくなる。その博覧強記と縦横無尽の論理展開には度肝を抜かれる。「知の怪物」というのは彼にこそふさわしい。必ずしも「納得」できることばかりでない。というか何を言ってるのかぜんぜん分からないことも多々ある(ラカニアンあるいはへーゲリアンとしての本領を発揮し過ぎる文章なんかは特に)。でもいつもその怒涛のような言葉に押し流されて最後まで読んでしまう。「哲学者」としての彼がどこまで優秀なのかはしょうじき分からない。永井均の哲学的問題群を経た後だとジジェクはずいぶん雑に見えてしまう。あえて野暮な言葉は使うならジジェクは「闘う哲学者」なのだ。彼は混迷と激動の時代に対しつねに「参戦」・発言しないではいられない。象牙の塔にこもって超時代的な思索を繰り広げる隠棲趣味は彼にはない。だから時事評論の類も膨大に書いている。ジジェクは「共産主義」という今ではあまり流行りそうもない言葉を積極的に使う。これはこんにちの左派系知識人のなかでは珍しいことだ。「資本主義システム」の中で生きている我々は、「ソ連の失敗すなわち共産主義の挫折」という連想をほとんど疑わないようになってしまっている。レーニンやマルクスなどもはや時代遅れだと左派系の人たちでさえ思いがちだ。でもそれは違う。誰もが経済優先思想や自己責任思想に侵され、持つ者と持たざる者との格差が半端なく広がったこんな不条理極まる現代こそ、レーニンやマルクスを精読すべきなのだ。そういえばさいきん白井聡の『「物質」の蜂起をめざして』がちくま学芸文庫から出された。これはレーニンについての論考。僕はまだ読んでない。ちかく香林坊の書店で買うつもり。そろそろ飯食うわ。手が冷たくなって抑鬱が強くなってきた。ミゾレが降っているような音がする。セナ様に抱かれたい。オイラは死に損ない怪物です。ザーメンまみれの孤独で惨めな怪物です。息をしている生ゴミです。生存していてすみません。もう少しの間だけ生きているふりをさせてください。殺さないでください。殺す価値もないかもしれませんけど。いやほんと。

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