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BL小説『届かぬ想いが消え去る前に』

もしかして。
失恋したかもしれない。
そう思ったら、もう何もする気がなくなった。
そっかぁ。俺は失恋したんだな。
仕事を切り上げて、コンビニへ向かう。
こんな時は、外で弁当でも食べながらボーッとするのがいい。
ふわふわしながら弁当と水とチョコレートを買う。
近くの公園までゆっくり歩いて、木の下のベンチに腰を下ろした。
ああ。綺麗な秋空だ。風も少し冷たくて心地良い。
今まで我慢してた唐揚げ弁当。
あいつの隣りに立つなら、シュッとしてなきゃ。
そう思ってたから。
でも、もういいんだ。
隣りに立つのは、俺じゃなくて、別の。
「あー…うめぇな唐揚げってな」
あいつのためにしてきた我慢。
…違うな。自分が勝手にしてただけだ。
隣りに並んで恥ずかしくないように。
あいつの自慢になるような自分。
そんな存在になりたかった。
最初から、報われないと分かってて、それでも。
「惚れちまったんだよなぁ」
俺は馬鹿だ。世界一の大馬鹿だ。
こんなに好きになって。
いったい何をどうするつもりだったんだよ。

昨日届いた、披露宴の招待状。
悪いけど「出席しない」に丸するぞ。
誰が笑顔で祝ってやるもんか。

最後の唐揚げを口に放り込む。
明日から毎日、唐揚げ食うぞ。
「さて、と。仕事するか」

少し遠回りしてから帰った。
頬に流れる涙が消えるように。

なぁ。

好きだったよ。

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