やっちゃば一代記 思い出(28)
大木健二の洋菜ものがたり
チーズとワインにピッタリ
生食ソラマメ(ファーべ)
在来のソラマメは16世紀に渡来し、いまや和食の膳、ビールのおつまみとして欠かせませんが、生で食べる習慣はありませんでしたね。
生食用は私が1991年にイタリアから取り寄せた種をソラマメの大産地鹿児島は指宿の生産者に委託して3年間栽培してもらいました。その後、栽培を中断した鹿児島県の他に適地はないかと、当たりをつけていたところ、
1994年の秋、当時の東京築地青果の高橋勝男専務の紹介で、千葉県の館山清浄蔬菜組合が快諾。同時に宮城県の中新田でもポットで栽培した苗をハウスに移植する方法で早出し用に栽培がスタートしたのでした。この2産地によって長期間の安定供給が可能になったのです。種の導入と栽培から足掛け7年、ようやく日の目が見られました。
初めて鹿児島で生食のソラマメが収穫されたとき、NHK,日経新聞、月刊ベジタ(野菜専門誌・のちに休刊)などの記者を招き試食会を開きました。イタリア料理に詳しい婦人から相性が良いと教えられていたヤギのチーズとワインを添えて出したところ、酔いも手伝って、マメの薄皮を取って食べるべきか否か、議論になりました。皮むき不支持派は「捨てるのはもったいない、皮の部分に栄養があるから。」と主張していましたが、結局、各人が好き好きという事で決着。ちなみにわたしは皮が硬い感じがするので皮むき派です
生食用の食感は、一般のソラマメのような臭みがなく、むしろ香ばしい点でパーティーの演出には打ってつけではないかと、密かに期待していました
ミート皿にさやのままの生食ソラマメを10本くらいあしらえば十分でしょう。若い人たちの格式張らない飲み会にもいいのではないでしょうか。
※生食用ソラマメ
ソラマメは大粒種がアフリカ北部、小粒種が中央アジア原産とされていますが、栽培は古く、スイスの青銅器時代の遺跡跡から発見されたという記録があるほか、旧約聖書にもソラマメの名が記されているそうです。
日本国内のソラマメ生産量は鹿児島がトップ、次いで千葉です。
生食用はイタリアが本場で、ファーベと呼ばれ、ローマ、シチリア島では常食されています。