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雪が全て溶けたら溺れちゃうの?



去年は豪雪で雪は溶けても溶けても無くならなかった。



学校帰りに缶コーヒーを飲もう。お金は持ってきちゃいけないけど。指がかじかんでプルトップが上がらないよ。

真っ白な息を吐いてどこもかしこも真っ白な背景で必死で温度を探す。


出来れば彼氏が欲しかった、かも知れない。

冬って勝手にカップルが増えるね。
さむくてね。

本当に不思議なくらい

昇降口の前は寄り添う二人でいっぱいだった。

待ち合わせ場所になってしまう軽い人熱れを何も見ない雰囲気を出して通り過ぎる。

誰かと誰かと誰かの香水が混ざった靴箱の前。




わたしの

黒いブーツは安物だから水が浸みてくる。

でも長靴は浮いてしまう。

私は浮きたくなかったらしい。


その他大勢の水色に紛れたかったらしい。
だけどきつい香水は付けたくないらしい。

それでも私だけを見てくれるなにかにすがっていたらしい。


便利な色なんてない。紛れたり、混ざったり、目立ったり、
全部自分じゃなかったり。

真っ白の中で、真っ白の中で。

息を吐くたび、指先はじわり。





小説家になろうで雪にまつわる企画に出したものです。
作者 小波

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