あんたが芸大で教授してるとはなあ １０年前は想像してない いや、５年前だって思わないなあ あはははは ここは東北の山の上の芸大、本日はオープンキャンパス、未来の芸術家候補が学内を探検する。 美術科の教授たちの会話はゆる〜っとしていて楽しそうだった。苦を苦ともせず乗れる波に乗り飄々と生きている。これが芸術家だよねぇと心の中がにこにこするわたし。 高校進学したものの受験に乗っかってみたのは水の流れが強かっただけで本心ではなかった。弾けるように家出して学歴は高
同じ絵を2枚机の上に置き、角を合わせて重ねればひとつの絵になるはずだった。こちらを合わせればあちらがずれる。おかしい、目の錯覚かな？ 私の心はこんなふう。 同じにしたいともがいて焦ってて、 二つを離せばやっぱり同じ絵に見えた。 こっちもじぶん、あっちもじぶん、 似ているのに上手く繋げられない。 でもどちらも偽物じゃ無い。困ったな。 なんで説明したら伝わる‥ 遠いところへ行った恋人は辛抱強く待ってくれている私を愛した。 そのうちにわたしの絵は拗れていった。 愛される私
今日が3行でまとまる訳は無いんだけど ヒカキンとお兄ちゃんは仲良さそうな感じして好きだ。また優しそうなお兄ちゃんで。あと、個人事業主という返答をしたのだろうか？ニュースの男性は。 あなたの職業は？個人事業主です。？？？なんとも違和感が。
すごく疲れた時、誰かに守られたいなぁとぼやく。普通になんてことない平日の午前。取り立てて怖い目に遭ったとか、ダメージだとわかりやすいものを受けたわけじゃない。 急に辛いというのはこういうのだと、 心を守りたい。ほんの少しのこと、 ひとりで生きなくていいと思う。 わたしは子供2人と暮らすシングルマザーだ。元夫はまあまああてにはなるけど年に一度会いに来るだけだ。君が少しその笑顔を届けに子供を大きく高く抱き上げてくれる、それがわたしの気持ちに大切なものだと知る。父親にぶら下がる子
顔を見て話したことのない人の絵を見にいく。何も動いていない様な人口の減る街中で、
うさぎさんはモラハラって言われたことないですか？と、亀は口には出さなかったけど思ってた。 かっとし易いだろうな、、と思ったから別にいいやと誘いに乗った。 うさぎさんはうさぎの仲間の間では足が遅い方なのかも知れないから、まあ、勝っても負けてもいいかなあ。だけど亀になんか勝っても対した自信には繋がらないはずだけどなぁ。 結局わたしが勝っちゃったなぁ。 あれからうさぎさん見かけない。穴の中で寝ているらしい。 うさぎさん、長距離走は自分との闘いなんですよ。誰かより速いかどうかじゃな
小説家になろうを読み返してきた。やっぱり書いて置くといいものだなあと思う。アクセス数が全く動かない時期があったのに動いていた（！）一体誰が読んでくれているのだろう。ありがとう。
遠くの方に何かが見えた。道路の真ん中に土の塊の様なものが見えた。耕運機が落とした土にも見えた。近づいていくと動いている。私はようく見ようとしゃがみ込んだ。押してきたベビーカーの中からそれを見せろ！とむずむずと赤ちゃんが言葉にならない声を上げている。小さな小さな鳥の子をどうしたらいいものかわからず私は掌に乗せて苦しくなった。見渡すけれど誰も通りかからない。2本先の道路を淡いオレンジ色の軽乗用車がゆっくり右から左へ過ぎていく。日差しは５月にしては強かった。胡麻塩ほどのつぶらな瞳
ここんちの旦那は俺を捨てろと言った。 ごみっぽいから捨てろ それを聞いて、小さな声でなんでと奥さんになったばかりの女が消えそうな涙を見せた。勿論この雑な男が振り返って目元なんか見やしない。 ほんの数十分調理台に置きっぱなしだったゆで卵を痛んでるから捨てろと言われて。 奥さんは今は遠い実家の台所を思い出していた。 実家ではロス食材など出なかった。つまみぐいが横行していてそちらの方が厄介だった。冷蔵庫にとっておいたおやつなど見つけた者の口に入ってしまう。奥さ
６時４０分。チャコールグレーのお布団の中。 ふあー！とおおあくびの犯人はまま。それを聞いて小さなお家ではいつも決まって長女が目を覚ます。 ままぁ、おはよう。 おはよ！ もぞもぞ、お布団のはじっこが生き物みたいに動く、顔は見えない。次女は二人の話を聞いている。 昨日の夜のままの夢聞く？ なになにききたいききたい。 あなたと妹がねきらきらひかるナイフをもっていたの。 ナイフ！子供なのに！ そのナイフにはね百円のお店でいつも買うみたいなキラキラので
魂はどこにあるのか、という問いかけがあった。 例えばプロレス魂の魂はどこにあるんだろう。ひとつのものに熱く呼び起こされる気持ちという使い方の魂。 呼びかけがあり反応がある。そことここに魂が宿るから。 私の魂はどこにありますか、と私が耳を澄ますと、私の体に入り込んで体を使って出たり入ったりしながら遊んでいると答える。この魂と体たちの私は仲良しになって心のところをいっぱいくすぐってぎゅうっとなって笑っていたい。 魂だけで言ったら生きることを楽しんでいそう。それは現実を頭で生
手に取る本には心を助ける言葉が載っている。それは私の中からは生まれでなかったけれど欲しかった言葉だ。ビタミンCが体内では作られないみたいに。 色んな栄養を求めているうちに、たくさん摂取したきらきらがいつしか自分の言葉を生み出している。生成された言葉はどんな栄養よりも吸収が良くて私はそれを大切にする。愛かなあと思う。 食べやすい本、食べにくい本、食べにくくても面白いから粘って読んだ本。言葉の調理法は人それぞれ違い面白い。食べやすかったのに体に異物が残ってしまう事もある。その
去年は豪雪で雪は溶けても溶けても無くならなかった。 学校帰りに缶コーヒーを飲もう。お金は持ってきちゃいけないけど。指がかじかんでプルトップが上がらないよ。 真っ白な息を吐いてどこもかしこも真っ白な背景で必死で温度を探す。 出来れば彼氏が欲しかった、かも知れない。 冬って勝手にカップルが増えるね。 さむくてね。 本当に不思議なくらい 昇降口の前は寄り添う二人でいっぱいだった。 待ち合わせ場所になってしまう軽い人熱れを何も見ない雰囲気を出して通り過ぎる。 誰かと誰
私の本名は最後に子がつく、古風な名前。 娘の学年のクラスには子がつく生徒は一人もいなかった。ワイドショーで何年も前に皺皺ネームと呼ばれてた。かよとか、ひろみとか、みちよとか、この辺りも仲間になるのだろうか。 すてきだけどね。しわ感があるらしい。埃っぽいのか、切ないね！ 言いたかったのはそんな事でなくて、私に付けるはずだった名前を隠したまま父親が死んでしまったことだ。 父は小説だけでなくあらゆるジャンルの本を愛しどんなに忙しくても読書を欠かさなかった。優先順位は食事と同等
店員さんがフリーハンドで描いたくまの絵のカップが横からにゅっと伸びてきた。 あげる。 この子から飲み物を貰うのは何度目だろう。 私はまだ棒付きキャンディしか返した事が無い。 しかも一度きり。 クリームソーダ味のシェイクは期間限定品らしい。 ‥いつも外だとなにかうの？ そこのコンビニのコーヒー一択。 屋上から指を指す。いつもホット。 アキラは？ 私はミルクティーが多いかな。 へえ。コーヒーも好きだよね。 うん。コンビニの美味しいけど。ミルクティーって家で
恋をするとポイントが貯まる仕組みになった。自分を磨けば磨くほどお金がかかるからだ。溜まったポイントで美容室に行き、ファッションを勉強した。失恋をした場合でもポイントだけは失効しない。恋をしている間に貯めたポイントは1人になった時にやけ食いするのにも使っていいし、最後まで諦めないで頑張った自分に一人旅をプレゼントしてもいい。 片思いで終わりにした場合には、貯まったポイントに鍵をかけてもよかった。一度鍵を預けておいて、完全に忘れなくても良いようにそう決められた。人を愛するとき
