LAST WEEK REMIND~アニエスのWEEKEND~
LAST WEEK REMIND
~アニエスのWEEKEND~
2/4-10の振り返り
☆は4点満点
【映画】
・アニエスの浜辺(2008)
☆☆☆☆:ベルギーの浜辺に鏡を立てて、カメラを覗く人物。お茶目にふくよかな老婆と自称する彼女はアニエス・ヴァルダだ。ヌーヴェルバーグの祖母として知られる彼女は齢80(当時)を迎えようとしている。これまでの人生を振り返るという内容のドキュメンタリーなのだが、決してただ思い出に浸るような退屈なものではない。アニエスの幼少期から成人し、写真家及び映像製作者として活動し、家族を持ち、愛する夫を亡くし、それでも創作を続けてきた人生が、喜びや悲しみをもって語られる。そこにはその時々で出会った人々との思いがけない交流や、彼女の豊かな知恵が自由に羽を広げる。作中の時々で後ろ歩きする彼女に魅せられてしまう。そんな彼女の姿勢を観ていると、芸術というのは人がいてこその生活に密着したものだと分かる。出会った人々と時を共有することが、何よりも人生を、映画を、素晴らしいものにする。それがなければ、映画も人生もつまらない。いつも心にアニエスを。
・いぬ(1963)
☆☆☆☆:高架下と思しき歩道を歩く帽子を被った男。モノクロの強烈なコントラストで始まる今作は、痺れるようなクールさを全編で維持し、密告者の美学を定義し続ける。監督ジャン=ピエール・メルヴィルはキャラクターたちの策が複雑に入り組んだ物語を展開しながら、警察のいぬとして動く男のハートを浮かび上がらせる。重要な意味を持つ帽子の使い方も最高。ベルモンドやレジアニらキャスト陣も渋すぎる。ギャングたちの秘密のコードが観る者を心酔させる。
・スクリーム6(2023)
☆☆☆:相変わらずメタだ。2,3,4作目をすっ飛ばして観てしまった前作も強烈にメタな作りをしていたが、今作もその姿勢を崩さない。ただ今までとは違うことがある。舞台が田舎町ウッズボローからNYの大都会へと移ったのだ。コアフォーなる前作を生き残った若者4人に加えて、新たに生贄風な、あるいは犯人風な若者たちと、シリーズに欠かせないレガシーキャラがゴーストフェイスとの死闘を繰り広げる。人通りの多いNYで、どのようにゴーストフェイスが神出鬼没するのか。満員の地下鉄だって安心してはいられない。続編ということで予算は多めに、スラッシャーもたっぷり。中心にいる姉妹のドラマも大事にしながら、スリリングにシリーズを拡張していく。一作目からレガシーキャラを演じているC・コックスが主人公たちに、これで食ってるくせにとパンチを浴びせられているところを見て、笑うしかなかった。今作ほど、あまり先読みせずに仕掛けられた罠に掛かっておけば、シンプルに楽しめる映画は他にない。
・WEEKEND ウィークエンド(2011)
☆☆☆☆:クラブで出会ったプールの監視員をするラッセルと芸術家を目指すグレンが最初で最後の週末を共に過ごす。まるで性格の違う二人がそれぞれの思いや過去、現状を吐露しながら仲を深めていく。互いに主張をしながらも心の鎧を下ろしていく様に見入る。ひとつのエンドに行き着いた二人の丸裸の感情にグッとくる。トム・カレンとクリス・ニューは自然なエネルギーでこのカップルに生きた血を注ぎ込む。ヘイ監督はどちらのキャラクターにも平等に、温かな眼差しを送っている。彼らの心に正直で、とてつもなくリアルなラブストーリーだ。
【TV】
・スコット・ピルグリム:テイクスオフ 第1シーズン第4話
・となりのサインフェルド 第4シーズン第21話
・スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー 第1シーズン第8話
・不適切にもほどがある! 第3話
【おまけ】
・今週のベスト・ラヴィット!
2億4千万のものまねメドレー