見出し画像

フィンランド留学1年目、運要素が強めな住宅事情

僕は日本で博士号を取得したのち、
フィンランドの大学に研究者として現地就職しました。

留学や海外移住の際には心配事が尽きません。
中でも住宅事情はその最たる例でしょう。

今回は首都ヘルシンキを例に、
フィンランド到着後すぐの家探し事情と体験談を紹介します


フィンランドでの一般的な賃貸の探し方

フィンランド都市部の住宅事情としては、
賃貸アパートが多いです。

市街地の建物はなかなか見応えがあって好きです。
中身は古そうですが。

ヘルシンキでは賃貸物件検索サイトを利用するのが一般的です。代表例はOikotieという会社です。

このようなサイトでは、住所や希望条件を入力して希望に見合った物件を探せます。

また、住宅の詳細まで閲覧でき、かつ物件そのもののターンオーバーが活発です。そのため、非常にアクティブに家探しができます。

移住したての問題点

一見、使い勝手が良さそうなのですが、移住したての場合はいくつか大きなハードルがあります。

それは、以下のような点です。
1. ネット上の本人確認が困難
2. 土地勘がない (=住みやすい場所がわからない)
3. 競争率が激しい

2-3に関しては、現地の知人や同僚・上司を頼れば解決できなくはないかもしれません。

最も問題なのはネット上の本人確認が困難だということです。これはフィンランドの認証システムに基づくものです。

オンライン化が進むフィンランドでは、定期券の購入から電子カルテの閲覧に至るまで、本当にいろんな手続きがネット上でできます。

家探しもそうで、賃貸検索サイトを通じて大家さんへコンタクトをする場合や契約 (署名等) もオンライン上でできてしまいます。

ただ、オンライン上での手続きには必ず本人確認が必要です。

本人確認には、residence permit (いわゆるビザ) に付帯する情報をもとに、警察から発行されるIDカードが必要です。

もっとも一般的なのは、現地で開設した銀行口座に警察から発行されたID情報を紐づけ、スマホのアプリで電子認証する方法です。

つまるところ、フィンランドに到着→銀行口座開設→警察でのID発行→電子認証の取得、という段階を踏む必要性から、移住してすぐの家探しは難しいということです。

Facebookを通じた賃貸や、知り合いと入れ替わりで住むといった方法はあるかもしれませんが、詐欺の危険性やタイミングの問題から現実的ではありません。

大学が提携する業者が便利

ではどうするか?

実は、フィンランドの多くの大学は、学生や海外からの職員に向けに専用の賃貸業者と提携しています

ヘルシンキ大学の場合、海外からの研究者はUnihomeという業者がとても便利です。

ヘルシンキ大学は海外からの学生や職員にとても親切にまとめサイトを用意しており、その中にUnihomeを介した家探しが紹介されています。

余談になりますが、このまとめサイトはとーっても有用で、移住に関する基本的な情報はここに載っています。合理的なフィンランドらしいです。

めちゃくちゃ丁寧。フローチャート式にできているので、上から順に読んで手順を踏めば、ほとんどの手続きが完了できます。おまけにチェックリストもダウンロードできるので、確認作業が簡単にできます。

住宅情報はHousingという欄にまとまっており
Unihome application formというものをダウンロードし、要件を記入して家探しができます。僕を含め、外国人の同僚はほぼ100%、unihomeで家を見つけています。

便利、でも運要素が強い

Unihomeのメリット・デメリットを挙げてみます。

メリット
・就職が決まった時からコンタクトできる
・レスポンスが早い
・大学関係者以外に競合相手がいない
・キャンパスの近所に家を借りられる
・家賃が相場より安いことが多い
・家族連れの物件が豊富

デメリット
・物件を自分で選べない
・シーズンによっては空きがない

Unihomeを使う場合のデメリットは、物件を自分で選べないことです。また、新学期シーズンの8月前後は空きが見つけにくいです。

僕は契約が決まりresidence permitの発行までこぎつけた7月頃に応募フォームを出したのですが、空きがないということで断られてしまいした。

到着後、9月に再度申請したところ、キャンパス周辺に3軒ほど紹介してもらうことができました。

・家賃が安い
・リノベーション済み
・妻と2人で住める
といった希望に合致しており、即決でした。

かなり運要素が強いのは確かですが、家ガチャだと思って割り切り、運に任せてみる位のメンタリティーが丁度良いのかもしれませんね。

あえて緩い条件で申請してフィンランドの住居をたくさん見てみるのもいいかもしれません。Unihomeが提供する物件にはスウェーデン統治時代に建てられたような、文化的に価値がある家もよくあります

こういった物件に運よく当たれば、物語の主人公気分を存分に味わえます。

*画像はイメージです。
https://www.urbaanipatikoijat.fi/2024/08/lielahden-kartano-ja-nottbeck-suvun.html

おまけ フィンランドのヘンテコ物件

フィンランドの物件の特徴は、外観を見るだけで建設年代を大まかに推定できることです。ある意味では画一的ともいえるかもしれません。

外観は同じようなつくりでも、間取りやデザインがおかしなことになっている物件はたまに見かけます。

最後に、Oikotieに掲載されたおかしな物件をランダムに紹介するインスタグラムアカウントを紹介したいと思います。

爆笑できるヘンテコ物件を熱心に紹介している

@outoja_kuvia_oikotiesta
というアカウントです。

何がそんなそんなにおかしいかは
実際にアカウントを見ればわかっていただけるかと。

移住の際に大きな不安である住宅事情がスムーズに決まると肩の荷が下りた気持ちになります。

フィンランドの物件選びは競争が激しい、ガチャ要素が強いといった面もありますが、見方次第では外観も間取りも楽しめるエンタメの一部なのかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?