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駅そばを食った日
若い頃は怖いもの知らずだったが、歳を取った今だからこそ今の時代だからこそ出来ることがある。
かつて日本人は群れで行動するのが得意だったと思う。
小学生の頃は「〇〇ちゃん一緒におトイレに行こ~」と連れだったものだ。
ひとり教室の片隅で本を読んでいる子は、仲間はずれで友達がいない子だと思われていたのだ。
最近はひとりで外食をしている女子が増えている気がする。
自分の食べたい物を遠慮なくオーダーし、ビールなんかを飲んでいる姿は実にたくましい。
まさに「腹が減った~」なのである。
女子会では大体はオシャレで人気のお店が選ばれる。
鯖の味噌煮定食が食べたくても定食屋という選択はない。
意識高い系であれば、オーガニック野菜と十穀米プレートランチなどとなるのだろう。
ほんとうは、もっとガッツリ食べたくても周りに合わせて、
「もうお腹いっぱ~い」「私も~」
なんて言ってしまうから、面倒くさい。
最近はひとり旅も増えているという。
昔は、女性がひとりで旅館に宿泊など考えられなかった。
今はビジネスホテルも充実していて、ひとりで自由に楽しめるようになったと思う。
しゃれた森の中のリゾートホテルで、のんびりと読書は私の憧れでもある。
個人でネット予約が出来るようになり、旅の形も随分と変わってきた。
かつての海外旅行といえば、大人数でゾロゾロと行く団体旅行が主流だった。
何よりも安心安全が保障されていた。
しかしながら自分が気に入った場所でのんびりというわけにはいかない。
団体行動は時間厳守。皆に迷惑をかけてはいけない。
家族、友達、夫婦の参加者の中で、おひとりはやはり勇気がいると思う。
どうやら最近はおひとり様限定団体ツアーもあるようで、自己紹介もなく人気なのだという。
この現象はいったい何を意味しているのだろう。
個人が尊重される時代になってきたのだろうか?
それとも今の社会の人間関係に、皆疲れてきたのだろうか?
自分の中で、仲間と一緒に行動と個人での行動がうまく住み分けができる、そんな社会になってきたような気もする。
今日、私は駅そばを食った。
若い頃は恥ずかしくて、ひとりでは入ることができなかったこの場所。
両隣ズルズルとそばをすする親父に囲まれて食べるそばは、やはり食ったという表現が正しい。
そして「蕎麦」ではなく「そば」が似合っているような気がする。
右隣の親父がカレーそばを食っていた。
カレーの匂いに誘われた私は、今度は黒い服を着てカレーそばにしようと決めて店を出た。
冷えていた体も温まり、なんだか気持ちまでもが温まったそんな一杯のそばに、今日の私は満足なのだった。
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お茶にしましょう
可愛いクッキーみつけたよ
お茶の時間が楽しくなるね
仲間と一緒に食べるも良し
ひとりで食べるも良し