100年前と似ている今の世界! あおひと君の週間アート情報 9/23-9/29 両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代 町田市立国際版画美術館

あおー地球は青い!あおひと君の週間アート情報!

アートを愛するみなさま!お元気ですか?

あおひと君の週間アート情報は、あおひと君みずから、開催されている展覧会に訪れて、サクっと内容をご紹介する展覧会レビューと、絵画、イラスト、工芸など、関東一都六県で開催される始まる展覧会情報5件をご紹介。毎週日曜に更新するアートチャンネルです!

アートは希望です!こんな不穏な時代だからこそ、心を豊かにするアートが必要不可欠、エッシェンシャルなのです!

さっそく、今週の展覧会レビューをお届けします!

今回、東京都町田市の町田市立国際版画美術館で12月1日まで開催されている「両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」を見に行ってきました。

この美術館は、小田急線、JR町田駅より歩いて15分ほどの芹が谷公園の一角にあります。

版画美術に特化した町田市が運営する施設で、版画や関連資料の収集保存、版画の実技指導などを行なっています。

版画芸術は、15世紀頃からヨーロッパで使われ始めた絵画手法の一つです。

日本では、木版画の浮世絵が特に有名ですね。版を使って同じものを複数、作れる版画は、すでに仏教と共に6世紀の飛鳥時代に日本には伝来していました。

世界最古の木版で刷った法隆寺に伝わる経典は、770年ころとされています。
しかし当時は経典など文字を複製する手段でした。のちにヨーロッパでは15世紀頃より美術作品でも使われるようになります。

この思ったより奥が深い版画です。今回の展覧会では、第一次世界大戦から第二次世界大戦の間の、煌めきから戦争の混迷期の20年間に焦点をあてて、230点にもおよぶ版画作品を展示していました。

4部屋ある展示室を時代で分けた展示構成でした。最初の部屋が、「両大戦間」に向かって:Before 1918。1914年に勃発した第一次世界大戦以前のベル・エポックと呼ばれたフランスなどの華やかさと、かたや貧富の差の拡大、列強諸国の軍事強化を敏感に感じ取ったアーティストの感性が見て取れます。

主な出品作家 フェリックス・ヴァロットン、アンドレ・エレ、テオフィル・アレクサンドル・スタンラン、ジョルジュ・ルオー

次の展示室は、煌めきと戸惑いの都市物語のタイトルで、都市をテーマとする作品やファッション雑誌、絵本などの印刷物、両大戦間のフランス、アメリカ、日本、ドイツ、ロシアでの作品を展示していました。

主な出品作家 ジョルジュ・バルビエ、マックス・ベックマン、エル・リシツキー、竹久夢二、藤田嗣治

3部屋目は、モダニズムの時代を刻む版画と題し、「抽象表現」「挿絵本文化」「シュルレアリスム」という3つのキーワードから紹介します。

主な出品作家 ピエト・モンドリアン、ソニア・ドローネー、マックス・エルンスト、マン・レイ、サルバドール・ダリ、ジョアン・ミロ、長谷川潔

最後の部屋は、「両大戦間」を超えて:After 1939。1939年の第二次世界大戦の勃発によるアーティストたちの変化や戦後の展開に注目。最後にフェルナン・レジェの戦争の遠い記憶と自然の再生への願いが込められた『サーカス』が展示されていました。

主な出品作家 ジャン・フォートリエ、スタンレー・ウィリアム・ヘイター、イヴ・タンギー、アンドレ・マッソン、ルイーズ・ネヴェルソン、フェルナン・レジェ

常設展示室では同時開催の特集展示「明治時代の歴史物語―月岡芳年(ヨシトシ)を中心に」が開催されていました。

さて、展覧会を見終わってみて、版画は、キャンバスなどに描かれた一品作品とは違う、紙をメインに版を介して表現される制約があるものの、作品から放たれるエネルギーは、一品作品と遜色のない緊張感、新鮮さや生命感を感じさせるものでした。

この展覧会では、100年前の世界を、感性豊かなアーティストたちの版画作品に焦点をあてています。その華やかさ、幸福感と、その裏に潜んだ格差社会、列強の軍事強化、商業主義の台頭とモラルハザードなど、今、この2024年に、そのまま当てはめても、ほとんど違和感がないのに少し驚かされました。いつの時代もアーティストの鋭い感性は、人間の進むべき道の一歩先を照らす光を放っていると感じた、とても興味深い展覧会でした。

アートは本物を直接、見るのが一番です。

アートは希望です!感動はエネルギーの源です!

みなさま、これからもアート情報ウエブメディアTokyo Live&Exhibitsともども、ご愛顧のほどどうぞよろしくお願いします!

展覧会レビュー
9月14日~12月1日 両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代 町田市立国際版画美術館(東京都町田市)
https://tokyo-live-exhibits.com/pum_tkmcd_machidacityprintartmuseum/

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