無駄なくシンプルで機能的なアート活! あおひと君の週間アート情報 10/28~11/3 展覧会レビュー テレンス・コンラン展と麻布台ヒルズアート巡り

戦争がなくなりません!とても悲しい。そんな今こそ心を豊かにするアートが必要不可欠、エッシェンシャルなのです!アートは希望です!

 今週の展覧会レビューは、東京駅北口の東京ステーションギャラリーで開催中の「テレンス·コンラン モダン·ブリテンをデザインする」をお届けします。

 テレンス·コンラン(1931-2020)の名は、ザ·コンランショップなどで、聞いたことのある方は多いと思います。

 「デザインが暮らしを豊かにすること、いつでもこれが私にとって一番大事なことだった」と語り、「Plain、Simple、Useful(無駄なくシンプルで機能的)」なデザインが生活の質を向上させると信じ、デザインによる社会変革に挑み、大きな成功を収めたデザイナーであり実業家です。その功績が認められ、1983年に騎士(Knight)の称号を受けています。サー·テレンス·コンランです。

 この展覧会は、多方面で活躍したコンランの軌跡を8つのジャンルで分類し、作品、資料とそれぞれ各ジャンルで関わった人たちのインタビュー映像で構成していました。

 まず、コンランが独立するまでの若かりしころの作品。ハビタとザ·コンランショップの業績。「モダン·ブリティッシュ」スタイルを生み出した食とレストラン。再生プロジェクトと建築/インテリア。バートン·コート自邸。バートンコート自邸内に設けた家具工房ベンチマークの作品と仕事ぶり。日本における展開。自ら出版社も経営していたコンランの出版事業と世界初のデザインミュージアムに関して。

 これらを見ると、いかにコンランがデザインを愛し、情熱を注いでいたのかが、強く伝わってきます。それは彼が、政治力にたけ、アイデアに秀でた経営者ではなく、自ら溶接も模型づくりも優れた技術でこなせることで、超一流の職人だということがわかります。

 1932年ロンドン西南部に生まれます。コンランは幼い頃から好奇心旺盛で、中学に上がるころには模型づくりなどとても得意でした。しかし金属加工中、片目を損傷し、以来、見えなくなってしまったそうです。
1948年アートカレッジのセント·マーチンズでテキスタイルデザインを学びます。将来大きな影響を受ける彫刻家エドゥアルド·パオロッツィの助手になり、家具製作も始めました。

 1950年、建築家デニス·レノンのもとに職を得て、グラフィックやテキスタイルで才能が開花。1952年、コンラン·アンド·カンパニーを設立。家具の販売を始め、コンランワールドがスタートするのです。

 昔昔、日本では、「おいしい生活」というキャッチコピーが流行ったことがありました。そのおいしい生活から、バブルが芽生え始めます。コンランが目指した、デザインが生活を豊かにすることに似ています。

 しかしコンランの目指した豊かな生活とは、決して贅沢や豪華や華美なものに囲まれた暮らしではないことは明らかです。子供の頃、蝶や野花に夢中になっていた彼は、無駄なくシンプルなものを愛し続けたのです。自然を愛する気持ちは、クリエイターにとって共通なことかもしれません。今一度、人類は、Plain、Simple、Usefulに注目すべき時なのかもしれません。

 後半は、日本一高い超高層ビルで話題の麻布台ヒルズをご紹介。ここにもアート系スポットがいくつかあるので行ってみました。

 2023年11月にオープンした、日本一高いビル、麻布台ヒルズ。高さ330メートル。東京タワーより3メートル低く、それまで日本一だったあべのハルカスビルより30メートル高いビルです。

 そのビル周辺はガーデンプラザというショッピング、レストランなどが軒を連ねるアーケード街になっていてGallery & Restaurant 舞台裏、マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー、麻布台ヒルズギャラリー、森ビル デジタルアート ミュージアム : エプソン チームラボボーダレスなどが営業しています。

 Gallery & Restaurant 舞台裏では、10月17日から11月10日まで石原海(うみ)個展「激雷」が開催されています。

 石原さんはロンドンと東京を拠点にする映画監督·アーティストです。映像作品「激雷」は、雷という予測不可能な出来事、そして踊りという人間の根源的な欲望をモチーフに、傷と痛みをかかえた人々が、共に生きる方法を模索するというテーマの映像作品です。熊本で撮影したという映像は、不思議で幻想的な雰囲気を醸し出していて、登場人物の存在感を一層、浮き立たせていた秀逸なショートムービーでした。

マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリーは、集英社が運営するギャラリーです。今年8月に88歳で永眠された画家、田名網敬一さんの作品で埋め尽くされていました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 そしてひときわ外国人観光客で混んでいたのがデジタルアート ミュージアム。大盛況。すごい人気でした。最近、機材と技術の進歩もあってか、優れたイマーシブ系のアートイベントが、いろいろなところで開催されるようになりました。この際、アートという言葉は置いといて、世界中に人たちに喜んでもらえるなら、それは日本にとって喜ばしい出来事なのかもしれません。

 麻布台ヒルズギャラリーでは、11月1日(金)からポケモン×工芸展-美とわざの大発見-が始まります。昨年、石川県の国立工芸館で開催された展覧会で、工芸の多種多様な素材と技法でポケモンに挑み、ひらめきと悶え(もだえ)と愉しみの中から生まれた約80点の作品が展示されます。ぜひ伝統工芸とポケモンのハーモニーを感じてみてください。

 なんか昔、アートとは何か?!で悩んでいた頃が懐かしく感じられます。今では、アートが表現全ての接頭辞のようになってしまったみたいです。

 まあ、セザンヌにしろマルセル·デュシャンにしろ、当時のアート論の常識や既成概念では捉えられない作品だったわけですから、やっぱりアートって難しいですね。

展覧会レビュー

10月12日~2025年1月5日 テレンス·コンラン モダン·ブリテンをデザインする 東京ステーションギャラリー(千代田区丸の内)
https://tokyo-live-exhibits.com/pum_tkchy_tokyostationgallery/

11月1日~2025年2月2日 ポケモン×工芸展-美とわざの大発見- 麻布台ヒルズギャラリー(港区虎ノ門)
https://tokyo-live-exhibits.com/pug_tkmnt_azabudaihills-gallery/

©2024 Pokémon. ©1995-2024 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
ポケットモンスター·ポケモン·Pokémonは任天堂·クリーチャーズ·ゲームフリークの登録商標です。

10月17日 ~ 11月10日 石原海個展「激雷」 Gallery & Restaurant 舞台裏(港区虎ノ門)
https://tokyo-live-exhibits.com/event_tkmnt_gallerycafe-butaiura/

マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー
https://mangaart.jp/news/tokyo_gallery

森ビル デジタルアート ミュージアム : エプソン チームラボボーダレス
https://www.teamlab.art/jp/e/tokyo/

あおひと君(現代美術家 関根かんじ)ホームページ
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