アートはデジタル空間で進化できるのか! あおひと君の週間アート情報!2/17~2/23
今週は、2月13日~6月8日まで開催される『マシン・ラブ:ビデオゲーム、AI と現代アート』アット森美術館をお送りします。六本木ヒルズ森タワー53階にある森美術館。2003年にオープンしてからすでに20年以上がたちます。開館当時、ヒルズ族という流行語も生まれ、高層ビルの最上階のゴージャスな美術館は、とても話題になりました。
海抜250メートルに位置する森ビル52、53階には、1月にレビューした古代エジプト展を開催中の森アーツセンターギャラリー、東京シティビュー、カフェやレストランなども設けられ、日々、様々なエンタメ企画を開催しています。
今回の展覧会は、テクノロジーとアートの関係性に着目。インターネットや生成AI、仮想現実VRなどをマシンでくくり、人間がそれとかかわりあいながら新しい表現世界を生み出すは常に影響し合いながら進化してきています。写真、映画はもとより、ルネサンス時代のフレスコ画から油絵への転換、印刷技術による版画もテクノロジーとアートの共存です。
近年、コンピュータなどのIT革命による社会変化は、18世紀の産業革命以上のインパクトを与えています。アートもいわずもがな、絵筆を最新のテクノロジーに置き換え、新たな表現の地平を開拓しようと試みるアーティストが数多く、生まれています。この展覧会では、そんな最先端を走ると思われるアーティスト12名を世界中からピックアップ。ゲームエンジン、AI、VR、生成AIなどのテクノロジーを用いた現代アート約50点を展示していました。
本展では、デジタルデータを素材とした新しい美学やイメージメイキング、アバターやキャラクターを通じたジェンダーや人種からの解放、超現実的な風景の可視化などが特徴です。また、アーティストたちはこれらの新しい手法を用いながら、死生観、生命、倫理、環境問題、歴史解釈、多様性といった普遍的なテーマを掘り下げています。
「マシン」とアーティストの協働作品や没入型の空間体験は、観客の感情を大きく揺さぶります。本展は、現実と仮想空間が交錯する中で、人類とテクノロジーの関係を考え、不確実な未来をより良く生きる方法を共に想像する機会を提供します。
近年、ChatGTPに代表される生成AIは、画像も動画も命令すれば、デジタル絵画や映像を作り出してくれます。いままで私たちが、アートとして崇めていたものはどうなってしまうのでしょうか?そんな生成AIの登場は、人類の創造力にとって脅威となるのでしょうか?こうした動向は、現代アートの文脈においても大きく注目されています。さて、テクノロジーの進化は、アートの世界にとってどういう立ち位置になるのでしょうか?
時として意味のない行為、生産性のない仕事と思われてしまう現代アートは、普通の人たちが気付かない、考えが及ばない些細なことに、アーティストは、注目し興味を抱き、そこに本人のメッセージを練り込み、創造性で膨らませて作品に仕上げるのです。そしてなるべくわかりやすく、とっつきやすくして、みんなに伝えようとするのです。
この展覧会を見て感じたことは、四角いモニターやフレーム中で、人間がマシーンに操られず人間として、生きていこうとする壮絶な思考の闘いを見た様な気がしました。もし、これらの作品がお金儲けや万人へのウケ狙いで制作されたのだとしたら、必ず人間社会は、ハリウッド映画のように、生成AIが支配する社会になってしまうことは想像に難くないのです。
またこの展覧会は、難解な現代アートとは少し違って、娯楽映像やゲームなどのエンタメ感覚でも楽しめます。しかし各アーティストが作品に対して埋め込んだメッセージを読み解くならば、人類に対してテクノロジーとの関係性に警鐘をならしているとも思えるのです。アートとは、そういう人類の進むべき航路を示してくれる灯台のようなものだと思っています。
最後に、タイトルのマシン・ラブのマシンとはコンピューターやハードウェアの総称で、「ラブ」はゲームやデジタルワールドに向けられる熱狂的な感情といいます。かたや我々の未来ではアンドロイド、サイボーグなどマシンが感情や意識を持つ主体となり得るのか、という哲学的な問いでもあるそうです。
だいぶムズイ話になってしまいましたが深く考えずとも、たとえば映像などはゲームのように楽しめる作品もあるのでご安心ください!
展覧会は、まずCHatGTPに生成してもらったという用語解説から始まります。
出展作家を展示順にご紹介します!
ビープル 1981年 アメリカ
2021年NFT作品が約75億円で落札されて世界的に注目された。メタバースで生まれた最初の人間《ヒューマン・ワン》が旅をし続ける立体作品を出品。ビープルは毎日1点デジタル作品をアップロードすることを死ぬまで続けると決めている。
佐藤瞭太郎 1999年 日本
ゲーム制作に使われる無名のキャラクター・データ「アセット」を映像作品に用いた映像とプリント作品を展示。代替可能な生命として使われるアセットは現実世界の命を連想させ、その意味を改めて考えさせる。
ディムート 1982年 ドイツ
出品作《エル・トゥルコ/リビングシアター》は、18世紀のハンガリーの発明家ヴォルフガング・フォン・ケンペレンによる自動チェスマシンが、実際には内部で人間が操作していたという逸話に触発された作品。2名のAIキャラクターあるいはAIと観客による哲学的な対話の場を見せる。
キム・アヨン 1979年 韓国
映像作品《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》は、コロナ禍で拡がった配達サービスを描いた最短距離、最短時間を競いながら、ソウルという都市空間をバイクで通りぬけるキャラクターのラブストーリーだ。
ルー・ヤン 1984年 中国
仏教の実践者であり、自身のアバターDOKU(ドク)が登場する映像作品。スピリチュアルな空間を旅しながら、身体と精神の関係性やアイデンティティなどを問う。
ジャコルビー・サッターホワイト 1986年 アメリカ
仏教の「慈悲の瞑想」をモチーフに、振付、壁紙、ビデオ、アニメーション、音楽が一体化したマルチ・メディア・インスタレーション作品を出品。
シュウ・ジャウェイ 1983年 台湾
新作映像では、ウェハーと呼ばれる半導体の材料に使われるシリコンが、砂浜から採取できることに着目し、最新テクノロジーを素材レベルから考察する。
藤倉麻子 1992年 日本
東京郊外の都市風景に関心を持ち、その均質性に西アジア文化圏の砂漠の風景を重ね合わせる。都市風景や工業製品などのテクスチャーやデジタル空間の光と影を探求しながらオアシスや庭園を創り上げる。
ヤコブ・クスク・ステンセン 1987年 デンマーク
フィールドワークや他者とのコラボレーションを通して生態系を探求。映像と音響、光るガラス彫刻から成る没入型の映像インスタレーション《エフェメラル・レイク(一時湖)》を展示。
アニカ・イ 1971年 韓国
生物学や生態系に深く関わる作品では、アーティストが長らくリサーチしてきたさまざまなイメージや過去の作品をマシンに学ばせ、新しく生成された世界を描く。
アドリアン・ビシャル・ロハス 1980年 アルゼンチン
コロナ禍下で開発したソフトウェア「タイムエンジン」で過去から果てしない未来までの時間軸から特定のタイミングを設定し、時空を越えた風景を描き出す。
ケイト・クロフォード 1975年 オーストラリア
ヴラダン・ヨレル 1977年 セルビア
テクノロジーと人間―500年間の関係として、16世紀以降のテクノロジーと権力の関係性を幅24メートルのインフォグラフィックにまとめている。
また同時開催で、美術館のコレクションから3人の女性写真家をピックアップした「MAM コレクション 019:視点―春木麻衣子、片山真理、米田知子」、フィールドワークを発表した「MAM リサーチ 011:東京アンダーグラウンド 1960-1970 年代─戦後日本文化の転換期」、「MAM スクリーン 021:ガブリエル・アブランテス」という映像作品を紹介する3つの小企画展も開催しています。
ではまた来週!ブルブルブルー
2月13日~6月8日 マシン・ラブ:ビデオゲーム、AI と現代アート 森美術館(港区六本木)
https://tokyo-live-exhibits.com/pum_tkmnt_morimuseum/
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