
これって国籍喪失しているの?という記事
弁護士JPニュースでこの記事
をよんで、「おや?」と疑問に感じました。
記事には
親の「かん違い」で1歳の時に日本国籍を喪失
本訴訟の原告は2010年生まれ、現在14歳の男性。
原告は日本人の子として出生し、その時点で日本国籍を取得。その後、英国人男性と日本人女性の夫婦と特別養子縁組を結び、夫婦の子となった。
原告は日本旅券(パスポート)を持っていたが、両親は「子(原告)は特別養子縁組によって実子と同じ立場になったから、父の国籍である英国籍も得たはずだ」と考え、原告が1歳の時に在日英国領事館で英国旅券を申請しようとした。これに対し、領事館の担当者は「旅券申請の前に英国の市民登録をする必要がある」と説明。
両親は「子はすでに英国籍を持っているが、英国政府に届を提出していないから政府側は子を英国国民として把握しておらず、そのために市民登録が求められている」と考えて、旅券の申請と共に市民登録を行う。その後、原告の旅券が発行された。
ところが、実際には「英国への市民登録」が「英国籍の取得手続き」を兼ねていた。
この事実を両親が知ったタイミングは、原告と両親が2010年代後半に英国に移住し、期限を迎えた原告の日本旅券の再発行を申請しようとしたところ、在英日本領事館の担当者に「国籍法11条1項によって原告は日本国籍を喪失している」と告げられた際であった。
英国人と養子縁組したら、英国籍自動取得するんじゃなかったでしたっけ?
そして自動取得なら「自己の志望」にならないんじゃなかったでしたっけ?
そう読んだ覚えが・・見つかりました。在英国日本大使館のサイトに、
なお、英国では、養子縁組や父母の婚姻により、自動的に英国国籍を取得することがありますが、これは「自己の志望」には該当しませんので、日本国籍を失うことはありません。

日本大使館の公式サイトにこう書いてあるのに、そりゃないよ、という気がします。
もし、「養子縁組」の場合で、「自動取得と扱われる場合」と「志望取得と扱われる場合」とに分かれるのであれば、その違いの決め手になる部分を詳しく書くべき。大使館サイトの記事は、「養子縁組」の子は、一律に英国籍の養親の籍を自動取得すると受け取れるものです。もし、そのように扱われないケースがあるなら、そこに触れないのはミスディレクションです。
弁護士JPニュースの記事も記事です。
「英国人との養子縁組」のこのケースで「自動取得」ではなく「志望取得」と扱われた決め手がなんなのか、そこを報じてくれないと読み手は消化不良です。