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『正欲』
多分、一年以上は本棚の隅っこに置いてあった気がする。
なんとなく放置していたけど、やっと読むことができた。
元気とか正気みたいなものは、どこかへいってしまった。
結局、理解されない側は理解してくれない側のことを理解しようとしない。
”理解してくれない側”が歩み寄ろうとしてくることすら拒絶するほどに、理解しようとしない。
排除してきた側が大義名分を振り翳して歩み寄ってくるのは胸糞以外のなんでもないから、しょうがないよなと思う。
登場人物らはそれぞれ相反することを言っている。
でも、誰のことも間違っているようには見えなかった。
「この本を読んだ感想として一番トゲのないやつ言いやがったな」と思われるのかもしれないけど、それでもいい。
全登場人物に共感できる部分があり、また理解できない部分があった。
初めから選択肢奪われる辛さも、選択肢はあるのに選べない辛さも、どっちも別々の辛さだよ。
神戸八重子のこのセリフが、頭から離れてくれない。
僕は、「選択肢はあるのに選べない」側だ。
みんな辛くて、みんな悩んでいる。
「俺はこんなに悩んでるのに、あいつらは何も悩まなくても生きてられて能天気なやつらだな」とか思ってはいけない。
最近、やたらと小説を読んでいる。
又吉直樹さんの『人間』、朝井リョウさんの『何者』『何様』『正欲』。
そして今読んでいるのが朝井リョウさんの『もういちど生まれる』。
『もういちど生まれる』は、読みながら頭の中に描かれる情景が青々としていてそれはそれで苦しいが、鬱屈とした気分にはならない。
すごく面白くて、今すぐにでも誰かにおすすめしたいくらいだ。
小説ばかりを読んで、フッと湧いてきた感情がある。
認めてほしいとか、肯定してほしいとか、価値を感じてほしいとか、ひいては彼女がほしいとか、そんな絵空事は一旦どうでもよくなった。
最大限に欲を言っていいのなら、自分の”擬態”を見抜いてほしい。
「なんか無理してませんか?」とか「嘘つかなくていいですよ」とか言われてみたい。
そしてその勢いで、noteに書いてきたようなことをとめどなく溢れさせてみたい。
心の底から「信頼できるな」と思える人に出会いたい。
’恥ずかしいことが恥ずかしく感じなくなる’遥か先の未来が、僕にとっての“地球との摩擦”になる日を心待ちにして、今日も明日も明後日もせっせと擬態を続けていこうと思います。
#277 『正欲』