『話し足りなかった日』 書店員さんから感想が届いています!
貧乏をネタにするわけでもなく、訥々淡々とした思考で
自分の日常を語る、イ・ランさん。
なんとなく韓国の有名な人、という程度にしか知らなかったので、
本に書かれた様々な金額を円換算して驚きました。赤字!?
お金を気にしながら生きるふつうの暮らしを
こんなにもふつうに書いているのに、読むのはとまらない。
お金に困るイ・ランさん、就職活動をするイ・ランさん、
資格をとるイ・ランさん、泣いているイ・ランさん、
怒るイ・ランさん、がんばるイ・ランさん、
肩をすくめるイ・ランさん、友達と笑うイ・ランさん。
イ・ランさん。
いつもいつも考えてはすなおな疑問をすなおに口にする。
得体の知れない器用さでどうやってか大金を稼ぐ人が脚光を浴びる今、
イ・ランさんの自然にふつうでい続ける視点は共感を呼ぶことでしょう。
すごく考えるけれど、すごい答えをみつけるわけでもなく、
自分を押しつけることもなく、
ただただ、すなおな疑問をすなおに口にする。
すなおすぎて、漢字の素直をあてられないほど。
ちょっといい、このリトルなかんじがたまらない良書でした。
(芳林堂書店高田馬場店 鈴木正昭さん)
『悲しくてかっこいい人』を読んで、これからは正直に生きようと決めました。ちょっとは正直になれてきたかもと思っていたけど、
イ・ランさんはもっともっと正直に率直に生きて、
素直な怒りと悲しみを表現し、痛みに向き合っていました。
イ・ランさんの人生の向き合い方にとても好感を覚えます!!
オ・ヨンアさんの訳がリズム感があってとてもすきです。
(ジュンク堂書店秋田店 進藤菜美子さん)
仕事のこと、身のまわりのこと。生きているあいだにはつらい痛みもあるけれど、それを文章にすることで、また前に進む力を得ることができる。
リラックスした中に、刺さる言葉が折りたたまれる、
待たれた新作のエッセイ集。
(Title 辻山良雄さん Twitterより)
その言動がしばしば、社会や文化シーンに一石を投じる
イ・ランさんですが、ふだんは、カフェ通いを止めて
家でインスタントコーヒーを飲んで節約したり、通帳の残高を気にしたり、ライブの損益分岐点を計算したり、文化助成の問い合わせをしたり…と、
殆ど個人事業者な世知辛い日々。
生活や仕事に対する疑問が浮かび、自問自答し、誰かに問いかけながら、働き、記録し、表現してゆきます。
いろいろなものと格闘しているようでいて、
ちょっと厄介な普通の人間イ・ランを、どのように受け入れて、
付き合ってゆくかにひたすら奮闘する日々のようでもあり…
音楽、仕事、友やペット、いろいろなものに懸命に向き合い食らいつきながら生きてゆく、ありのままの話が強く心にせまります。
(タコシェ 中山亜弓さん)
ひとつひとつの文章が短いながらもさらっとなぞるだけでなく、立ち止まって考えさせられるものでした。
まるでスパーリングのようでした。
一度の衝撃でノックアウトということではなく後からもじわじわと効いてきました。
イ・ランさんが日々の生活から考えたこと、それによって起こした行動は私も身に覚えがあること。
でも半歩先を歩かれていて眩しいように感じました。
その距離の重さについて考えながら、行動することで傷つくこともあるし、傷を癒すこともあるひとりの人のありようを眺めていた気がします。
コロナ禍での創造的な自営業者の葛藤は、仕事での自分の実力や理想と現実とのすれ違いなどで疲弊する私にはとても効きました。
闘病する友人を支える際の葛藤も読んでいて苦しいくらいでした。
でも読み終わると不思議と気が軽くなるようなあるようでない不思議な書籍でした。
(ジュンク堂書店池袋本店 小海裕美さん)
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私たちの話には意味がある。
忘れないために、ゆっくり話しましょう。
シンガーソングライター、小説家、コミック作家、映像作家、そしてエッセイスト。韓日のカルチャーシーンで煌めく多才なアーティスト、イ・ラン。
大好評『悲しくてかっこいい人』に次ぐ、待望の新作エッセイ集!
お金、労働、フェミニズム、コロナ禍……。
韓国大衆音楽大賞授賞式でトロフィーを売った話から、創作の舞台裏、金銭事情、#MeToo運動、友との別れ、荒波の日々。「芸術製造業者」と自称し、「ほんとうにそうすべきだろうか?」と問う。あらゆる境界線を消して、ひたすら話し、歌い、記憶していくイ・ランの物語。
『話し足りなかった日』 イ・ラン著/オ・ヨンア訳
http://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=1051
装画:廣川毅
装幀:名久井直子
定価:本体価格1800円+税/2021年発行
四六判/248ページ/並製
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