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諭吉バラバラ事件

木曜日の朝、早起きしたベルが
私たちを起こしに来たけれど、ぐうたらな人間たちはパッと起きられなかった

やっと起きてトイレに入ったら、リビングから、バリバリと音がしていた
硬めの紙を破るような音
そういえば昨日買い物した時の紙袋置きっぱなしだったかも?と思いながらトイレを出て
何をバリバリやっているか確認したら…
その日銀行に入金しようとしていた諭吉たちのうちの、2諭吉
それぞれ5〜6片くらいに破られていた

一瞬で目が覚めたので
私を起こしたいベルの作戦は大成功なんだけど
それにしてもおそらくほぼ元の状態にはりあわせることが出来そうなくらいのパーツがあることと
元の状態になるという事は飲み込んでいないことは安心した

まず前の夜に現金を準備してしまっていなかった私が完全に悪いので
ベルには諭吉たちは返してもらってとりあえず2枚分のパーツたちをかき集めてファスナー付き保存袋にしまって
散歩支度をして、出かけた

戻ってから夫に惨劇を伝えると
寝起きすぎて反応薄くてつまらない私
(もうこのくらいの段階にくると珍事件のように思えてきていた)

妹にもこの惨劇を伝えたら
まず、現金を出しっぱなしなのが良くないと怒られ
イタズラっ子ベルの写真を加工して
ニュースで出そうな画像を作ってきた
ベルの写真の下に、
【逮捕】貨幣損傷取締法違反の疑い
ベル容疑者(10ヶ月)
なんて書いてある
そんな法律、たぶん無いって軽くみてたら実は本当にある法律っぽい
調べたのか…スルーしてごめん、妹

昭和二十二年法律第百四十八号
貨幣損傷等取締法
① 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
② 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
③ 第一項又は前項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する


e-gov法令検索

そして、その日は朝から仕事だったので
とりあえず首チョンパになった諭吉さんたちはどうしたら良いのかGoogle先生に質問する
近所の銀行ですぐ変えてくれた!というものとか、日本銀行で予約して交換するというものと
まあ色々と出てきて
とりあえず、仕事の合間で「近所の銀行」に電話をしてみた
銀行のATMに行くだけなのと、窓口まで行くのとでは掛かる時間も変わってくるし、ゆっくりしている時間もない

すると、
破損した紙幣の他にハンコと通帳も一緒に持っていかなければいけないこと、
鑑定を日銀に依頼してからの交換(振込)となるので2週間ていど掛かること
を教えてくれた

もしかしたら紙幣の損傷度合いにもよるのかも知れないけど
2週間てずいぶん時間かかるなぁ
というのが印象に残った

続いて、先程調べた日銀に持って行く方法をもう一度確認してみる
そもそも、日銀ってどこ?だし
ちょっと大袈裟って思っていたけれど、実は最初に調べた時に予約ができる事は確認していた

日本銀行って、あの円の漢字の形のビルというイメージが強くて
まさかそれの支店があちこちにあったなんて今回初めて知った
やはり予約も出来るということだったので、ネット予約をした
破損した紙幣は貼り合わせておくらしい
(剥がせるテープで、というようなことが書いてあったので、マスキングテープを使用した)

週が明けて今朝、日銀に無惨な姿の諭吉たちを引き連れて行ってみた

住所だけ調べて、夫にその手前くらいまで送ってもらった(雨が降っていて月曜日の朝だからかとても道が混んでいたし、夫もその後仕事があるので途中で降りた)
大きい警察署の近くだなぁと目星は付いていたので、地下歩道を歩いていく
地下歩道の最後の出口が1番近そうだったのでそこから地上にあがる
と、目の前が日銀だった
何度もここの前を通っているのに、知らなかった
きっと歴史ある建物なのだろう
(ちょっとかっこいい)

でも普通の銀行とは違って月曜日の朝イチなのに車が停まっていない
恐る恐る入ると、いきなり警備員さんに声をかけられる
全く威圧感はなく、むしろここの銀行員なのではと思うくらい丁寧だった
用件を伝えたら、窓口へ案内してくれる
入り口に用件ごとの窓口番号も書いてあるし、一般人が入れるスペースは広くないのですぐわかりそうなのにこれまた丁寧

案内された窓口で、
無惨な諭吉たちを提出して
エプロンをした女性から指示をもらいながら
指定された紙に必要事項を書いて番号札を持って待つ
名前と住所と電話番号と、金種と金額
そして、なんで破損したのか理由を書く欄があった
「飼い犬がイタズラして破損した」と書いた

私が知っている「銀行」は、客が待つスペースも広くてたくさん椅子があって、それと同じくらいかそれより少し広いくらいの執務スペースがあって、その境目にずらりと窓口がある印象なのだけど
ここは圧倒的に執務スペースが広くて
客が待てる場所はほんの少し
数人分くらいの椅子しかない
それに、少なくとも私が居た間は一般の客はほぼ来なかった

待つこと10分くらい
先ほどのエプロンの女性番号札で呼ばれる
今回、小さな欠けはあったけれどほぼ元の形にはなる程度の破れ方だったので、全額での交換となった

でもちょっと寂しいやら嬉しいやら
新紙幣での交換となった
エプロンの女性がなんだか親しみやすくて
「あっ!新紙幣初めてみました!」なんてはしゃいでしまった

もしかしたら近所の銀行も同じようにしてくれたかも知れないけれど、
知らない場所に行ってみたのが少し冒険で
社会勉強をしたのでつらつらと書いてみた

現金をテーブルに置くのはもう止めようと決意した

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