自然の中でとことん探究する。神戸の山奥にある開校25年のスクール。
6歳から15歳までの子どもが通えるスクールが、神戸の山奥にあります。場所は六甲山。以前からその存在は知っていたものの、見学に行く機会がなかなかなく、先日初めてスクールで1日を過ごしながら見学をさせてもらいました。
ラーンネット・グローバル・スクールはオルタナティブスクールの中でも歴史があり、今年で創立25周年を迎えます。
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朝9時に阪急岡本駅・JR摂津本山駅から徒歩5分の場所にある「岡本わくわくハウス」に集合。そこからスクールバスで六甲山まで移動します。車内では物語の朗読や百人一首の音声が流れ、到着までの約40分間、子ども達は静かに音声に耳を傾けます。
スクールは、「学校」というより「ロッジ」と言った方がイメージが伝わりやすいかもしれません。周りは木に囲まれています。
到着すると、それぞれの教室で学習がスタート。低学年、中学年、高学年に分かれます。
「ラーンネット・グローバル・スクール」と聞くと、英語に力を入れているような印象を受けますが、実際は日本語を学ぶことを大切にしています。移動中の車内では日本語を聴く時間がたっぷりありましたし、授業の中でも自分の考えを書いたり、話し合ったりする時間が多く取られているように感じました。
1日の大まかな流れは決まっており、授業は以下の4種類に分けられます。
・ベーシック学習 :基礎的な学びの時間
・テーマ学習 :科目横断的に学びを深める時間
・プロジェクト学習:自分の探究テーマについて掘り下げる時間
・とことんやろう!:好きなことや得意なことにとことん取り組む時間
時間割は組まれていますが、テストや通知表はありません。その子が持っている能力を最大限に発揮することを大切にしているからです。
また、特徴の一つはチャイムがないこと。チャイムがないからと言って、授業が始まらないということはなく、時間になったらそれぞれの場所に集まり、自然と学びが始まります。
子どもと関わる大人は、「先生」ではなく「ナビゲータ」と呼ばれています。子ども達の学びをサポートしたり、学び方の提案をする役割を担っています。
そして、スクールには職員室がありません。授業がないナビゲータは、リビングのような広い空間で作業をします。子ども達は授業中でもパソコンを使ったり、印刷したり、iPadを使って調べ物をしたりしながら学びを深めるため、授業中であろうと教室には留まらず、様々な場所に移動します。
代表の炭谷さんは、デンマークで一人一人が持っている個性をそのまま伸ばすことを大切にする教育に出会い、日本でもそのような教育の場をつくるためにスクールを立ち上げました。
「テストがなくても、子どもは勉強するの?」
「好きなことを中心に学ぶだけで、卒業後は大丈夫?」
そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
ふと過去を振り返ってみて思い出すのは、自分自身も、好きなことや興味のあることこそ、深く学べた経験があったことです。そしてそれは、今も続いている。一方で、子どもの頃、誰かと比べて出来ていない自分の状態を突きつけられとき、学ぶ意欲が奪われていくようなあの感覚もよく覚えています。
学びは、本当はもっと楽しいものです。テストがないと学ばない子どもなんていません。そして、好きなことを突き詰めたあと、卒業後にそれを後悔する子どももいません。
ラーンネット・グローバル・スクールは、その子の興味関心、性格、特徴をそのまま肯定して伸ばしてくれる場所。
そんな場所なっているのはなぜなのか?理念はもちろん、ロッジの場所とナビゲータの存在がそうさせているのではと感じました。自然豊かな環境の中にあるスクールで、窓の外を見れば広い空と木が見える。そして、ナビゲータは子どもの学びを決して妨げない。彼らが学びに夢中になれる環境が、ここでは整っているのです。
「ラーンネット・グローバル・スクール」HP
ラーンネットでは、ナビゲータの関わりを学べる講座も開講しています。私は、4月に受講する予定です。ご興味ある方はこちらもぜひ。