『書く仕事がしたい』佐藤友美著:ライターや著者として長く働き続ける方法
ライターを目指す人やライターの職業を続けたい人のための本。
著者は、ヘアライターとして活躍し、今は書籍ライターやコラムニストとしてのキャリアを積んでいる方。20年の実績から導き出した心得や思考法など、具体的なノウハウを伝える。
なり方から、食べていける仕事の仕方、めげずに続けるメンタルの保ち方まで、重要なアドバイスが詰まっている。
内容はどれも納得がいくものだが、知った後にできるかできないかは、また別の話。実行できる人が実際にライターとしてやっていけるということなのだろう。
「締め切りを守る」「正確でわかりやすい文章を書く」は「最低限」だが、それができれば仕事をもらえる、など、事実だと感じる。
「仕事をしたら、2本企画を出して、次の仕事につなげる」や「自力で実現までこぎ着けられるものを企画という。芸能人が引き受けてくれなければ成り立たないものはただのアイデア」など、仕事を発注する側(多くは編集者)に立った視点で考えて行動している。
オリジナリティは「視点」(何を見るか)と「視座」(どこから見るか)の組み合わせで切り口を見つけることで生み出せる、という話も役立ちそう。言われてみればそのとおりなのだが、そこまで落とし込んで説明してくれると、活用しやすい。
例えば、ドラマの連載で、登場人物の役柄が「視点」で、その視点からのコラムはいくらでもあるが、それを髪型という「視座」で切り取ると、ユニークな内容になる。(本書p. 316)
本書の最後に、取材相手に真摯に向き合って言葉を紡ぐことや、言葉で表現することの暴力性についても書いている。どちらも「知って」はいるが、常にそれを意識して書くことは決してたやすくない。
この2点を考えると恐ろしくなるし、自分は書いてはいけない人間だと感じることもある。それでも、プロはもちろん、プロではなくても、書きたいと思う人は書き続けるのだろう。