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映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』ヴィム・ヴェンダース監督

戦後ドイツを代表する芸術家アンゼルム・キーファーのドキュメンタリーと言っているが、映画監督のヴィム・ヴェンダースがキーファーを素材に料理した映像作品と呼ぶ方が適切ではないか。そしてその手法は功を奏していると思う。

キーファーが自身の広大なアトリエ(むしろ倉庫)で作品制作をする様子(調べ物をする思考的作業と、巨大な作品に火を当てて焼くなど肉体労働的な作業の両方を含む)、現在のキーファーのインタビュー、過去のインタビュー映像、中年期と子ども時代の再現映像などから構成されている。

一流の芸術家(監督のヴェンダース)が芸術家(キーファー)と芸術作品を「解釈」して提示(表現)するとこうなるのか、という面白さがある。

キーファーの作品はそれ自体で力があるが、それらを映した映像が美しくこれまた迫力がある。

3D上映って、3D眼鏡の料金が余分にかかるし、意味あるの?と思っていたが、大いに意味があった。立体感、奥行きが予想よりも素晴らしかった。

贅沢な映像鑑賞体験だった。

作品情報

監督:ヴィム・ヴェンダース
製作:カルステン・ブリュニヒ、ヴィム・ヴェンダース
製作総指揮:ジェレミー・トーマス
撮影:フランツ・ラスティグ
美術:セバスティアン・ソウクプ
編集:マクシーン・ゲディケ
音楽:レオナルド・キュスナー
出演:アンゼルム・キーファー、ダニエル・キーファー、アントン・ベンダース

2023年製作/93分/ドイツ
原題:Anselm
配給:アンプラグド
劇場公開日:2024年6月21日


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