『人は顔を見れば99%わかる フランス発・相貌心理学入門』佐藤ブゾン貴子著
うさんくさいが強烈なタイトルなので、どんな内容か読んでみた。
フランスに「相貌心理学」という学問があるらしく、それを日本で紹介しようとする入門書。
決して顔の「美醜」で人を判断するものではなく、また相貌心理学で見る顔の形、特徴は人生で長短期において「変化」するものだということが冒頭で明記されている。
ただ、「日本人は卵形の顔が多いが」という記述もあるように、人種などによって傾向が見られるパーツなどもあると思うので、「危険」「怪しい」ところが皆無な学問というわけではないと思う。人種差別が横行していた時代の名残を引き継いでいるところもあるんじゃないかな、とか。
パーツなどごとの特徴から導き出す「性格」などは、「目がつり上がっている人は、こういう性格」など、視覚的情報から一般的にイメージされることと大きくずれてはいないと思う。
内面と姿かたちがある程度連動していて、時とともに変化することもある、というのも、誰しも覚えのあるところだろう。
著者は、「良い悪い」ということではなく、自分と他者の特徴を知って、タイプをわかった上で対応して付き合っていくのが大事、と強調している。
これは相貌心理学に限った話ではないだろうが、「思考」「感情」「行動」のどのタイプか(どの傾向が優位か)というのは、生活のいろいろな局面で感じることが多い。
私はたぶんもともと「思考」が強くて、理論・理想・芸術性を好む。でもおそらく意外と「感情」面もあるが、ただしそれを察したり表現したりすることが苦手。それで「鈍い」「冷たい」という印象を与えがちだし、「感情」を大切にする人を知らず知らずのうちに傷つけかねないので、なんとなくそういうことを学んでいって、「感情」表現にも気を配ろうと努めている状態(だが、あまりうまくはいっていないかもしれない)。「行動」面は弱く、ただ一度決意すればほぼ断固として実行する。しかし、「行動」タイプが重視するという実益、役に立つ・立たない、目に見えないものより形あるものを信じる、といった考え方にはいまだになじめない。でもビジネスにおいてはそうした価値観はもちろん無視できないので、ある程度取り入れる必要があると認識はしており、試みてはいる。
相手のタイプを正確に見極められなくても、例えば謝罪するときには誰に対しても、「申し訳なく思っている気持ち」(感情)、「原因や経緯、今後の対策の説明」(思考)、「不利益の範囲の明確化、それをいかに利益に転換させられるかのメリットの提示」(行動)の3点セットを伝えることが大事、などと、「タイプ」の考え方を活用できそうだ。
顔から完全に判断するというより、パッと見の印象は抱きつつ、それにとらわれ過ぎずに、相手がどんなタイプなのかを実際に関わる中で見極めていき、うまい関わり合い方を見つける(または離れておこうと判断する)、くらいがいいのかな?