太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)『金夢島 L'ÎLE D'OR Kanemu-Jima』東京芸術劇場
フランスの高齢女性が幻影の中で憧れの日本にある架空の島へ行って、演劇祭の開催を巡って思惑を巡らす島民たちの政治劇を演出しているといった構造になっている演劇。
島民たちと演劇祭に出演するために海外から訪れたパフォーマーたちが入り乱れ、フランス語、日本語、英語、広東語、アラビア語、イディッシュ語などが飛び交う。
香港や中東での争いや難民・移民問題など、きわどい表現も登場する。深刻な内容を笑いを交えて語り、賛否両論はあるかもしれないが、巧みな演出といえるかもしれない。
金夢島は感染症防止のため隔離されているという設定。施設にいる老いた母親と娘がビデオ通話する場面などもあり、感染症は大きなテーマの一つだ。また、ビデオ通話の場面や、主人公(?)の高齢女性は認知症のようにも思えるなど、老いも重要なテーマとなっている。
演劇としてスタンダードなつくりだが、奇想天外でもあり、楽しめる舞台だった。
字幕は見やすかった。休憩を挟んで前後半に分かれていたが、後半は前半よりも字幕を出すタイミングがずれていた気がする。
この作品は東京芸術祭の演目になっている。
作品情報
作:太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)
演出:アリアーヌ・ムヌーシュキン(2019年京都賞受賞)
創作アソシエイト:エレーヌ・シクスー
音楽:ジャン=ジャック・ルメートル
出演:太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)