28.ふえとこ
日々のエセー『まいにちとことこ』。
第28回は、「ふえとこ」。体重について。
いつの間にか増えてるときってある。
「太るのも才能」って言うけど、これほどまでに嬉しくない才能は他にはない気がする。
ぼくは食べるのが大好き。美味しいものをたらふく食べることほど至福なことはない。まさに快楽だ。
自分の思うがまま食べていると、いつの間にか体重は増え、肥えて、しんどくなってる。
恐ろしい。
なにごともバランスが大事なんだって。あと、継続力。
今月に入ってからダイエット(減量)を始めたけど、いつだってぼくの頭を駆け巡るのは、食べ物のことばかり。
くじけそう。
痩せた自分に会いたい。見てみたい。ただそれだけのために、糖質と脂質の高い美味しい毒(食べ物)と、しばしのお別れ。
ほんと、いつの間にか増えてるときってある、よね……?(そしてそれはおおよそ自分が意識しなかった時間に起きている、と錯覚し続けている。)
[追記]
聞こえのいい、耳障りのいい、かっこよさそうな言葉というものがある。
たとえば「オーバードーズ」。
でもそれって、結局は薬物の「適応外使用」であり、「乱用」でしかない。医師や薬剤師による正規の処方箋ないという点で、形式的には違法薬物を使用するのと一緒。「メディカルダイエット」にも要注意。
このような、ふわふわしてそうでとげとげしい毒みたいな言葉は、日常生活のありとあらゆる場面で確認でき、その最たるところは人気取り政治家たちの「政治」に見出すことができるのではないだろうか。総裁選・代表選のときにだけ、身の潔白を主張し国民の相手をするような政治家の発信する空虚な言葉に。
新しい流行の裏側にあるのは、いつだって、軽い言葉と、過剰な美意識、そして漂白化だ。
[2024.9.8]