怖ガラセ屋サン 読書日記
怖ガラセ屋サン 澤村 伊智 (著)
あらすじ
誰かを怖がらせてほしい。戦慄させ、息の根を止めてほしい。そんな願いを考えてくれる不思議な存在――。「怖ガラセ屋サン」が、あの手この手で、恐怖をナメた者たちを闇に引きずりこむ!
怪談は作りものだと笑う人、不安や恐怖に付け込む人、いじめを隠す子供、自分には恐ろしいことは起こらないと思い込んでいる人……。
こんなヤツらに、一瞬の恐怖なんて生ぬるい!
気づいたときは、あとの祭り。
“怖がらなかったこと"を、後悔させてあげる――。
一話ごとに「まさか! 」の戦慄が走る、連作短編集。(amazon)
感想
つまらなかった。
全体的に恨みを残して死んだ人がいて、その復讐のために怪奇現象が起こるみたいな話が多い。
まず1話目で語り手の不注意のせいで殺人鬼を家に招く場面があるのだが、その時殺人鬼が得意げに不注意を責める。しかし会う人全員を警戒しながら人間社会を生きていくことはできないし、そこでマウントとるのはズレていると感じた。
また、恨みが原因で怪奇現象が起こるというのもよくわからない。人間死ぬときは何かしらの後悔を抱えたまま死ぬ人が多いと思う。そのため、現代は幽霊で満たされていないとおかしいのではないか。また、恨みで怪奇現象が起こるのなら、世界から殺人犯は消え失せるのではないか?せっかく怖ガラセ屋サンという超常現象があるのだから、人の恨み以外のアプローチがあったほうがよかったと思う。
それと、復讐劇モノは主人公が復讐者でないと面白くないということに気づいた。復讐される側だと爽快感もなく、かといって罪悪感を感じるほど感情移入もできず、蚊帳の外感が高まるだけだった。それが7話続くのだ。
私にとって1番の恐怖はこの本amazonで星4.2の評価を受けていることだ。自分の感性を信じられなくなってきた。