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#13 競争に勝つには「違い」を出そう

(2)差別化戦略 

競合に対して差別化をする戦略ですが、この「差別化」をもう少し嚙み砕くと、
製品の特徴、機能、性能、品質、顧客が持つイメージや印象などが
  ・他社に比べて顕著に差がある
  ・他社にない独自性がある
  ・他社が模倣困難である
  ・顧客にとって、分かりやすい
  ・(特定の)顧客にとって、重要な意味を持つ
という事になります。

機能や性能が他社に対して顕著な差があれば、もちろん大きな差別化になりますが、多くの製品が成熟化している現代では、機能や性能が他社に比べて顕著に差を出せる製品は少なくなってきています。
なので、この中で特に重要なのは独自性です。
たとえ機能や性能上の違いは無くても、競合が持っていない要素で違いを出す、つまり独自性が出せれば差別化ができます。


ソニーは、コンテンツIP(知的財産)の獲得・制作に経営資源を集中し、最大化するという戦略を描いています。
僕らのような昭和世代は、ソニーと言えば、小さくてカッコいいエレクトロニクス製品のイメージが強いでしょう。しかし、それはもう過去の話で、今は事業ポートフォリオを組み替えて、保有するコンテンツIPの質と量で独自性を出して差別化する戦略に大きく舵を切っています。


ザッポスという靴のネット通販会社は、競合がやらないような手間やコストがかかる事をあえてやって違いを出しています。
顧客から注文を受けるのは主に電話で、しかもオペレーターが直接、顧客と話して商品選びをする、ザッポスが扱っていない商品があれば、オペレーターが他社のサイトから商品を探し出してくることもあります。このような独自の常識破りの顧客対応が、熱狂的なザッポスファンをたくさん作ったそうです。(ザッポスは、その後アマゾンに買収されました)


丸亀製麺は、麺づくりの技術・知識が優れた職人の認定制度を作り、「プロ」が打った麺で美味しいうどんを提供するという品質強化に取り組みました。多くの飲食チェーン店で採用しているセントラル・キッチンはあえてつくらずに、「打ち立て、つくりたて麺」の提供にこだわって、独自性を出しています。


本屋さんは、ここ10年で3割も減ったそうです。確かに街で目にする本屋さんが少なくなりましたね。

本屋の楽しみは、本屋の中を徘徊してると、思いがけなく面白そうな本に遭遇する、そんな楽しみがあると僕は思っているのですが、同じ思いを持っている人も多いようです。広い本屋の中を迷路のようにして、本棚にはぎっしりと本が詰まっている、まるでドンキの店内のような本屋が大垣書店。ここ30年間、売上を伸ばし続けて、ここ10年では直営店を2倍にしたそうです。一種の「エンタテイメント空間としての本屋」として、独自性を発揮しています。


ベビー服やTシャツ、トレーナーなどの子供服を製造・販売しているミキハウスは、製法と素材にこだわったのが特徴で、最高級の綿を使用するとともに、肌ざわりの良い編み方など、品質の良さで独自性を出しています。
又、ミキハウスはアスリートの支援にも力を入れていて、その社会貢献の姿勢も素晴らしいなと思います。


「それはまだ、流行っていない」というテレビCMで、サントリーはジン「翠 SUI」を2020年に発売しました。
「ビールよりもハイボールよりも、圧倒的に清々しい」という「清々しさ」という独自性でヒットしています。


しかし、せっかく独自性を出しても、競合に後追いで真似されてしまう事は、よくあります。
これは、コトラーの競争地位別戦略でいう同質化ですね。
例えば、サントリーの「翠 SUI」に対して、キリンが後追いで2024年8月に「森で深呼吸するようなスッキリとした清涼感が楽しめるプレミアムジン 杜の香」を発売しました。

同質化を回避するには、模倣困難な独自性を出せるのが理想です。
ソニーのコンテンツIPの例ように他社に負けないくらい大きな投資をするという方法もありますが、模倣困難な独自性については、次回に続きを書きます。

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