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妻と歩んだ日35〜子ども達の前で初めて泣いた日〜
2022年6月
身内だけの葬儀が始まる…
妻との約束。
葬式は身内だけで、安くして欲しい。
友達は絶対に来るから、葬式が終わった後に伝えて欲しい。
あんまり保険掛けてないけど、余ったお金は大切に使って。
だから、会社にも身内だけで行う旨。そして、献花も弔電も断った。
寝不足なのか何なのか、自分の妻の葬儀なのに心のどこかで冷静な自分がいる…
自分が凄く冷たい人間になったような気がして、それが嫌だった…
葬儀が終わり、出棺…
火葬場へ…
火葬場で、花と共に思い出の品を入れていく…
子ども達はまだ理解はしていないけど、騒がずみんなと同じ様に別れ花を入れていく…
花に囲まれた妻は、やっぱり綺麗で、微笑みを浮かべ寝ているようで…
割と融通を聞いてくれて、大きな金属以外は入れても良いとの事…
うん、婚約指輪はそのまま着けて行ってくれ…
シルエットスタジオの切り絵も入れとく…
そして最後のお別れをして、火葬の扉が閉まる…
ふいに涙が…
自分でも全く予期していなかった…
ただ体だけが反応した…
子ども達が驚いてる…
そして、自分が一番驚いてる…
何とか落ち着き、時間になるまで待機…
途中、不動産の担当から引き渡し日が決まったと連絡。
間に合わなかった…
担当の人もショックを受けていた…
何とか間に合わせたい。と、頑張ってもらってたから…
その気持ちだけで充分…
最後、骨壷に皆んなで入れていく…
婚約指輪はダイヤが無くなったけど、形はそのまま…
それも一緒に骨壷の一番最後に入れる…
妻は沖縄の海に散骨して欲しい…
お墓参りとか、負担になるから、海に向かって手を合わせれば良いから…
そう言っていた…
でも、もう少し…
せめて、気持ちの整理がつくまで…
自分の側にいて欲しい…
それに子ども達がもう少し大きくなったらやろう…
自分が死んだ時は、同じ様にして欲しいから…
それまでは手元供養…
戒名も決まったので、位牌も依頼…
妻の好きな琉球硝子の位牌…
妻の好きな青色…
喜んでくれるかな…
年齢は数え年なので一気に歳上になってしまったな…
夜、友達には全部終わってから連絡して欲しい。と言う、妻の約束通り連絡。
自分も何度か会った事ある程、妻と仲良くしているグループ…
皆んな混乱してたな…
元気な時はウィッグを付けて遊んでたしな…
妻は、みんなはきっと自分の事の様に受け止めるから、知らない方が幸せ。
そう言ってたからな…
事情を説明したら、妻の友達は、皆んな、妻らしい。と…
そして、少し落ち着いたら線香を上げに行きたいと。
断る理由なんて無い。
妻も皆んなに会いたがっていたし。
そうして、妻が居ない初めての夜が過ぎていく…