バシュラール「空間の詩学」意訳的要約(序論1〜3)
ガストン・バシュラール「空間の詩学」の序論一から三までの要約です。
序論自体は九まであります。
()は自分の解釈です。
序論
一
・詩的な問題を研究したいと願う哲学者は、
これまでの自分の哲学的研究の習慣を捨ててね。
考えを繋げたり積み上げたりしてるのは虚しいから、
イメージの中に没頭した方がいいよ。
・詩の哲学というのは、言葉から生まれる新しいイメージの中に
完全に没頭することだよ。
・詩的イメージは魂から湧き出るもので、
浅い考えからは生まれないものだよ。
・普遍的な概念、つまり理性は、
詩の哲学の基礎にはならないよ。
「原理」とか「基礎」といった概念は
ここじゃマイナスの作用にしかならないよ。
詩というのは本質的に新規性と現実性を持っていて、
古臭い概念はそれを損なうだけだから。
・詩はめっちゃ生き生きしていて新しいもので、
過去のイメージには縛られないよ。
過去のイメージが詩的イメージを生むんじゃなくて、
詩的イメージが過去のイメージを連想させるんだよ。
・詩的イメージの中にいることは一つの存在論的実存で、
私はこれを研究しようと思うよ。
・因果性(時間や空間)を超越すればするほど、
この詩的実存のレベルは上がるよ。
・ミンコフスキーって人の現象学の流儀に習うなら、
詩的イメージから連想される過去のイメージを
経験しなければいけないよ。
・詩的イメージがなんで因果律(時間、空間)に支配されないのか、
そしてなんでそれが人々の共感を呼ぶのかはよくわからないけど、
ある特異な詩的イメージが伝達可能だという事実は、
存在論的な意味で重要なことだよ。
・感動が詩的イメージを生むんじゃなくって、
詩的イメージが感動を生むんだよ。
・詩人の心は心理学では把握できないよ。
想像の現象学がこれを明らかにすることができるよ。
二
・科学的アプローチでは、
詩的イメージが個人個人の主観の壁を
超える理由はわからないよ。
そして詩的イメージに対して超主観性の度合いを
規定することは出来ないよ。
詩的イメージは概念と違って生モノだから、
その時その時によって変わるよ。
・詩は精神(理性)からではなくて、
魂から生まれるものだよ。
だから一貫性を重んじる科学的アプローチではなく
観察を重んじる現象学的アプローチによって、
夢想する意識について調べていくよ。
・現代フランス哲学では精神(理性、頭)と心(感性、魂)が
一緒くたにされがちだけど、それは全然違うものだから、
Geist、Seeleと明確に区別しているドイツ哲学に倣った方がいいよ。
・「魂」って力強い言葉だよね。
・芸術を理解するには魂の目で見る必要があるよ。
魂だけが魂を見ることが出来るよ。
「詩は形式を創始する魂である」って
ピエール・ジャン・ジューブって詩人が言ってたよ。
三
・魂の共鳴によって詩を聞き取り、
魂の反響によって詩を語るのが人間だよ。
反響は存在を反転させ、
詩人の存在がまるで我々の存在のように思わせるものだよ。
(以下レディガガ「アプローズ」の歌詞より抜粋
"One second I’m a Koons, then suddenly the Koons is me
Pop culture was in art, now art’s in pop culture, in me"
"あるとき、私はジェフ・クーンズだった。
突然、クーンズが私になる。
ポップカルチャーはアートだった。
いま、アートは私の中でポップカルチャーになる。"
https://ameblo.jp/lyricsgaga/entry-11592996456.html)
・詩の反響は、我々の存在を深化させるよ。
それは存在の生成だよ。
ここでは、表現が存在を規定するよ。
・詩的イメージの新しさは、表現者の創造の度合いに左右されるよ。
創造的意識や行為は、自らが根源であることを教えるよ。
詩の現象学はこの根元の価値を明らかにしようとするよ。
(とりあえずここまで)