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【数学】LIT数学研究室からの ~チェバ、メネラウス編
みなさん、こんにちは!LITのノスケです。今回はLIT数学研究室の第二弾として、チェバとメネラウスの定理について考えていきましょう!
前回のLIT数学研究室では、このシリーズに込める思いと、ピタゴラスの功績について話ました。まだご覧になっていない方は以下のURLからぜひ、ご覧ください!
メネラウスって誰?
メネラウスは古代ギリシャの数学者で図形の分野で様々な発見をしました。また、彼は自身の名がついたメネラウスの定理を発見しました。
チェバって誰?
チェバは17世紀から18世紀にかけて活躍したイタリアの数学者で、メネラウスと同じく、図形の分野で様々な発見をし、チェバの定理を発見しました。
チェバの功績
チェバは以下の図形において、
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$${AD/DB × BE/EC × CF/FA=1}$$が成り立つことを証明しました。
でもこれってホントに成り立つんですかね~?
もしかしたらチェバの証明が間違っている可能性もありますよね!
これから一緒に証明していきましょう!
チェバの定理の証明
チェバの定理の証明法はいろいろあるのですが、今回はベクトルを用いて、証明します。理由はベクトルを使うことで、図形を頭で動かしたりするような複雑なことを頭の中でやらずに、機械的に証明できるからです。ベクトルってなんだかわからないって人もその都度解説しますので、安心してください!
まず最初にベクトルの軽い説明をさせてください。
ベクトルとは大きさと向きを持つ量のことで、矢印を使って表すことが多いです。
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図2のように点Oから点Aを見たとき、点Aはどの方向にあるのか?またOからAまでの長さ(大きさ)はどのくらいか?ベクトルはこの二つを表すものとして捉えてください。またOAのベクトルを図2のようにOAの上に→を書いて表します。ここで注意することはOAベクトルとAOベクトルは別物ということです。OAベクトルは点Oから点Aに向かっています。一方AOベクトルはAからOに向かうベクトルなので向きが逆向きになっています。そのため、点の順番には気を付けてください。
また、ベクトルの足し算についてです。ベクトルの足し算は以下のようになります。
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次に、一直線上にあるベクトルの話をします。
下の図のように点O,A,Bが一直線上にあるとき
OBベクトルはOAベクトルと実数kを用いて以下のようにあらわすことができます。
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次に内分点についてもベクトルを用いて表すことができます。ABを3:1に内分する点Cをベクトルで表してみましょう。内分の公式は以下のようになります。
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ABを3:1に内分する点を考えるならm=3,n=1を代入すればよいのでOC(ベクトル)=1/4OA(ベクトル)+3/4OB(ベクトル)とあらわすことができます。ABの長さを1としたらACの長さは3/4,CBの長さは1/4となります。ではABの長さを1をしたときにBCの長さがn(0<k<1)になるときについて考えていきましょう。ABの長さが1、BCの長さがnなので、ACの長さは1-nと表すことができます。
そのため図5のmに1-nを代入すると分母はn+(1-n)となるので分母は1となり次のようにOCを表すことができます。
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今回はABの長さを1と固定しましたが、ABの長さによってAC:CBは変化しないので、ABがどんな長さでもこの式は成り立ちます。
お待たせしました。それでは実際にチェバの定理を証明していきましょう!
さて、チェバの定理は$${AD/DB × BE/EC × CF/FA=1}$$でしたね。
この時、点DがABをt:1-tに内分している点、点FがACをs:1-sと内分している点と置きましょう!(ただし0<t<1,0<s<1)
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そうするとチェバの定理はこうなります。
$${t/1-t × BE/EC × 1-s/s =1}$$
これを解くと$${BE/EC=s(1-t)/t(1-s)}$$となります。
つまりBE/ECが$${s(1-t)/t(1-s)}$$となることが求まれば、チェバの定理を証明できます。
ここで△ABFについて考えていきましょう!
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この時、点OはBFをk:1-k (0<k<1)に内分するとします。
図4と合わせて考えるとAOベクトルは次のように表すことができます。

またAFベクトルはACベクトルのs倍となるのでAOベクトルは次のように表せます。

次に△ACDについて△ABFと同様に考えていきましょう!
△ACDにおいて点OはCDをℓ:1-ℓに内分する点として考えていきます。
するとAOベクトルは以下のようにあらわすことができます。

①,②より
ℓt=1-k
ks=1-ℓ
この二つの式を連立し、ℓについて解きます。(kについて解いても同様に求めることができます)
ℓ=s-1/st-1
この結果を②に代入すると

また点A,点O,点Eは直線上にあるので
AEベクトルは実数kとAOベクトルを用いて上図のようにあらわせます。
よって点EはBCを$${st-s/st-1}$$:$${st-t/st-1}$$に内分する点ということがわかります。
そのため$${BE/EC=s(1-t)/t(1-s)}$$ということが言えます。
メネラウスの功績
メネラウスの功績といえばやはりメネラウスの定理の発見でしょう。それでは証明していきたいと思います!!
と思っていたのですが、チェバの定理の証明を先ほど頑張ったので疲れてしまった人も多いと思います。(私も疲れました…)
そのためメネラウスの定理の証明は、後の機会に残しておき、今回はなぜ成り立つのかイメージをつかむくらいの軽い説明でとどめましょう。
メネラウスの定理の説明
メネラウスの定理とチェバの定理の違う点はメネラウスの定理には外分点が一つ混じっていることです。ここで下図の2つの図形を考えます。右側の図形はよくチェバの定理の説明に使われる図形で、左側の図形はよくメネラウスの定理の説明に使われる図形です。直線BCにおいて左の図形は点EがBCをm:1-mに内分しています。
一方右側は点EがBCをm:1-mに外分しています。
また外分を式で表すと、以下のようになります。

内分の式と外分の式を見比べると、内分の式=-外分の式となります。そのため、右側の三角形において点Eは-m:1+mに内分する点とみることも可能です。(あくまで内分と外分の公式から)よってチェバの定理よりメネラウスの定理は成り立つことが何となくイメージできると思います。
今回のメネラウスの定理の説明について、あくまでメネラウスの定理が成り立つことのイメージをつかむものであり、この説明が証明にはなっていないことには御注意ください。
付録 チェバの定理とメネラウスの定理の覚え方
ここではチェバの定理とメネラウスの定理について、どうしても覚えられない人に向けて、私が高校生の時に担任の先生から教わった覚え方を話していきます。それは原点、内分点、内分点、原点…内分点、内分点、原点というおぼえ方です。文字だけ見るとよくわかりませんね(´;ω;`)。図で見ていきましょう
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この図でABにおいて点A、点Bはそれぞれもとからあった点(原点)です。また点DはABを内分する点なので、内分点です。最初は原点から始まるのでAが分子の左側に来ます。
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次に内分点が来るので、分子の右側にはDが入り分子はADになります。また分母は内分点が最初に入るので分母の左側にDが入ります。

またその次には原点が入るので、点Bが入ります。
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これを一周繰り返すと、チェバの定理になります。メネラウスの定理も同様にして覚えられますが、外分点の存在に注意して式を作りましょう。(内分点と外分点の扱いは同じ)私は今でもこうやってチェバの定理やメネラウスの定理を思い出しているので、覚えられない方は使ってみてください。
まとめ
今回はチェバとメネラウスの定理がなぜ成り立つのかに注目して話をしていきました。チェバの定理とメネラウスの定理覚えにくいと考えている方も多いと思います。(私も高校生の時、覚えるの大変でした。)しかし、今回のように一度、数学者たちはどのように考えたのかを自分なりに考えていくと覚えやすいと思います。今回ご覧いただきありがとうございました。また次回の「LIT数学研究室」シリーズもご覧ください!
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