
カヌーイストの聖地”ホワイトホース”へ 【Yukon Canoeing Trip_Day0】
彼からの提案
彼が30歳を迎えた年、夫婦でワーホリに行くことに決めた。コロナ禍で入籍をしたので、ハネムーン旅行にも行けていなかった。
バランス的には、生粋の旅人である夫と、一人旅が好きでたまに旅人な私。
忙しくしていた日常を一旦全て手放して、ワーホリでお金を貯めて、そして長期の旅に出ようと決めた。
そして、ワーホリを控え、埼玉で日常を送っていたある平日の夜。
仕事を終え晩御飯を食べながら、彼は「ユーコン川をカヌーで下れるらしい。しかも簡単そうなんだ、一緒にやろう」と提案してくれた。
駆け出し冒険家と名乗る彼の言う、”簡単そう”の根拠は見当たらない。
なぜなら、彼はカヤック初心者にも関わらず、単独でナイル川を2000kmもカヤックで下ったことがある人なので、どこから信じればいいのか、分からなかった。
川下りか、、、行ってみたいけど、私でも本当に行けるのかな、と思っていたくらいだった。
導かれるようにホワイトホースへ
ワーホリでカナダに渡ってから、2人とも、常にユーコン川下りを目標に、動いていたわけではなかった。
最初は、アルバータ州Canmoreで1ヶ月半くらい暮らしていて、その間に決まった彼の次の職業がオーロラのツアーガイドだった。偶然にもそのガイド会社の所在地がユーコン準州”ホワイトホース”。”ホワイトホース”という場所は、偶然にもユーコン川下りのスタート地点だった。
ホワイトホース行きが決まった時、やっと憧れだったカフェでの仕事に慣れてきたところだった。あんなに足を引っ張っていたのに、来月辞めますと言ったら、マネージャーが「給料も上げるし、家賃も無料でいいから残って欲しい」とまで言ってくれるようになり、揺らいだ。
だけど、ご縁というものを私は信じている。
彼のガイドとして挑戦したいという夢を応援したかったし、その場所があの”ホワイトホース”というのも、何かご縁があるからだろうとゆるーく信じていた。
とはいえ職場は最後まで楽しかったし、心の準備も儘ならぬまま、最終勤務日を迎え、スタッフアコモを出ることになった。
最初のカナダ生活を送ったCanmoreの空気感は決して忘れないだろう。
後ろ髪引かれるまま、あっという間にホワイトホース行きの日を迎えた。
準備 〜出発の1・2日前〜
2023.Aug7-8
ホワイトホース到着3日後に、ユーコン川の旅に出ることを計画していた。住む家も、私に関しては仕事も未確定なまま、旅の準備を進める必要があった。
川下りに必要なノウハウ、どこの道をどう進んでいくのか、食べ物や道具で必要なのものは何か・・・など、10日間の旅に出るのに調べなきゃいけないことが多すぎて、私はパンク状態で思考停止に近かった。
正直なところ、本当に直前までこのまま旅に出られるのか分からなかったし、中止になる可能性もあるのでは?と密かに勝手に思っていたことは反省している。
ホワイトホースに到着後、ゲストハウスで2泊しながら、買い出しなどの準備をした。旅で必要なのは、食料とキャンプ道具、釣具などの遊び道具。食料以外は、できればセカンドハンドで、質の良いもの、コストが低いもの、と優先順位で探す。
Changing Gears
キャンプ道具やスポーツ用品が豊富。釣りをするのに必須のFishing licenceをここでも取得可能。シュラフと釣り用品を購入して、licenceの登録もここでした。
・Thrift store (服、靴、食器、キッチン用品など)
・And-Again Consignment Store(服など)
カナダでは、セカンドハンド(中古)の店を、『Thrift Store』と呼んでいる。いらなくなった家具や食器、洋服などが寄付され、良心価格で販売されている。ホワイトホースには、リサイクルショップやこのThrift Storeがあるので、セカンドハンドの物はこの3つの店を巡って購入。
何を買うにしても、その他大型スーパーなど3〜4軒も全て回って、品質と値段を見極めていたので、とにかく気力と体力が必要。ダウンタウンの区画はとにかく広くて、車を持たずに歩いて巡るのは想像以上に体力が奪われた。
目標としていた分の買い物がやっとできて、さぁ帰ろう!と思いきや、雨が降り始めて、バス停で雨宿り。宿までの道のり3km程の道のりを、土砂降りの中歩くわけにもいかなかった。道路にはね返る雨のしずく、通りすがる車をぼんやりと見ながら、その翌日にはカヤックの上にいるという、少し先の未来がまだずっと遠くに感じる。
なんせ、まだ食料の大半はまだ買えてないなぁ。
9日分の食料を2人分ゲットするのも想像以上に時間がかかるものだ。
生きる、生き延びる、というのは、それだけで何らかの恩恵を受けていること。購入した食品の原料たちが、まだ穀物や果物、野菜などの植物として、大地と繋がっていた姿を想像しながら、考えを巡らす。私たちは1人で生きることができなければ、必ずしも、人間と大地(地球)を切り離すことはできない、と腑に落ちたのは、何分も遅れたバスがようやく遠くの方に見えた時だった。
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