見出し画像

Char

チャー(Char)って知ってる?
ウイスキーを入れる樽というのは必ず内面を火で焦がすの
直火ですることをチャーといい(バーボン樽)、遠赤外線で熱するのをトーストという(ワイン樽)
必ず焦がすの

意外と知られてないのかもしれないけど、
あの美しい琥珀色はこの工程があるからこそであって、真新しい樽にいれたところで、それは熟成した焼酎であり、ウイスキーではない

樽に入れる前の原酒は「ニューポット」といってアルコール度数の高い焼酎
蒸留所とかで試飲できるけど、比較として意味があるだけでニューポットが美酒かといわれたら疑問
生まれたての赤ちゃんは奇跡であり、かわいいけど
その後ゆっくりと成熟して大きくなった時に、昔の写真と今を比較すると
その神秘に感銘を受けるのと似てる

色だけじゃないよ
樽にはタンニンのほか、リグニンという成分が木材に含まれているけれども、この焦がす工程で、リグニンが分解されやすくなる
リグニンが分解されると、ほんのり甘いバニリンがウイスキーの原酒に溶け混む

だからね

狂おしいほど誰かを愛おしく思う気持ちも、
不用意な誰かの一言で心が傷ついて眠れない夜も、
なんのためにこの人生があるのかと涙が溢れる日も、

ウイスキーがウイスキーたるように
あなたがあなたであるために必要なこと

バニラ味の色を着色したところで、それはウイスキーではない
ずっとずっと長い年月、ゆっくりゆっくり滲み出したもの
そんな早々に美酒が誕生するもんですか
お酒の神、バッカスは魂プログラムをちゃんとウイスキーにヒントとして残してるのね

だから泣かないで
その焦がしは美酒に必要なものだから
無駄なものって本当にないのよ

「酔いって単に酔っ払いでしょ」なんて言う輩は放っておきなさい

少なくとも最後にその美酒と出会える者ではないから

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?