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友情って奇跡なんだよ

 20代前半の時、親友と3人で近くの温泉宿に泊まりに行った。
あのころ私たちは、仕事に追われ日々仕事に振り回される毎日だった。
毎日こんなに頑張っているのに全然良いことがない(主に恋愛的に良い出会いがないという話だったが)ということで、週末に一泊温泉旅行も良いではないかといった具合だ。
よくある「毎日頑張る私たちを労おう!」というテーマの女子旅だ。

 その温泉宿は地元じゃ有名な宿で、温泉に温水プールにめちゃめちゃ広いビュッフェ会場に盛りだくさんなお料理で、仕事に疲れた女子には、まさに天国だった。
ビキニを着てプールではしゃぎ、夕飯のビュッフェはお腹いっぱいなのにデザートは別腹でたらふく食べて、温泉に入り、すっぴんで自撮りして大笑いした。
本当に楽しかった、今でも話題に上がるくらい楽しい一泊だった。


 その後も私たちは仕事を頑張り、将来を共にするには微妙な出会いや上手くいかない恋など色々な経験を経て、それぞれ最高な相手と結婚し、今はそれぞれの生活を送っている。

 結婚すると、それぞれの生活スタイルが出来てくるので、なかなか会える回数が少なくなってきた。
年に1回集まって、1年分の近況報告をし、夕飯までに解散するのが定番になっていたのだが、そこに来たのがコロナだ。
生まれたばかりの子供がいる子がいたので、なかなかランチに誘うことも出来ず、そもそも何人かで集まることがタブーとされていた時期もあったので、3人で集まることは自然となくなっていった。


 先日、とあることで3人が一堂に会することがあった。
その場では、色々な積もる話が出来る状況ではなかったので、それぞれ元気に過ごそうと声を掛け合って離れた。
後日、久しぶりに3人で集まらないかと連絡をもらった。
素直に嬉しかった。
結婚による生活の変化や、コロナのせいで、なかなか会えなかった2人とまた青春時代の話が出来るのだ。
コロナ過で人と繋がることが良くないという風潮があったが、やはり人を作るのは人だろうと感じた。
人と会うということ自体が嬉しいのだから。


 今度集まったら、どんな話になるだろう。
結婚生活の大変さだろうか、子育ての大変さだろうか、希望していることがなかなか思うようにいかないことへの悩みだろうか、新しい家族との付き合い方だろうか。
温泉宿に泊まりに行った時の会話とは、すっかり変わってしまった私たちの会話だが、それもまた最高だ。
それだけ長く親友でいるということなんだから。
これから変化していく私たちの会話の内容も、今から凄く楽しみだ。


 ちなみに、3人で泊まった温泉宿に、夫と泊まりに行く。
結婚記念日のお祝いである。
また一つ、この温泉宿での思い出が増える。
これもまた素直に嬉しい。



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