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旅の始まり|ÖBBの列車で
今回のウィーン行きは、いわば「便乗旅」というようなものだった。
ドイツから東方面の3ヶ国を回るショートトリップに出ていた息子の最後の立ち寄り先がウィーン。じゃあそこから合流するのもいいな、と決めた。
大学がほぼ夏休みになっている次女も同じくオーストリアのグラーツから来ることになった。
入念に計画する旅も楽しいが、こういう「風が吹いてさらっと決まる」というような旅もまたいいものだ。
さて、今回は列車での移動。
行きはÖBB(オーストリア連邦鉄道)を利用した。
だいぶ遠回りをするルートだが、最寄りの駅からウィーン中央駅まで乗り換えずにいくことができる。1000km、11時間ほどの旅になった。
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旅の最初の一枚ということで 笑
この列車は全席指定。といっても自分で選ぶわけではなく、予約時に席が割り当てられるシステム。私たちの33号車は Ruhezone=静かに過ごしたい人向けの車両となっていた。
ちなみに……33号車といってもそんなに長ーい列車というわけではない。7両編成だったように思う。号車番号のつけ方には何かしらの基準があるのだろうけど、ちょっと不思議だ。
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さすが山の国!トイレの個室は壁全体がぐるりと山の風景。悪くはないが、壮大すぎてちょっと落ち着かない。
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ドイツからオーストリアに入りしばらくすると、山が両側に見えるようになってくる。
こんな景色を眺めながらのんびり……
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というわけにはいかなかった。
とにかく車内が寒い。
もちろん、バスでも列車でもクーラーをきつめにかける傾向にあることは長年の経験からわかっていた。初夏に外気温20℃を超えたぐらいで「どうです?奥さん、涼しいでしょう?」みたいなドヤ顔で冷やしはじめることもある。
だから、羽織もの(パーカー)はしっかり持っていったのだが、到底太刀打ちできない。
そんななか、トレッキングに向かう客は強かった。
山歩き用のレインジャケット、中にはダウンジャケットを着込む人もいた。(パンツはひざ丈で寒そう)
みなさん途中のチロルの山で降りるのだろうけど、私はあと7時間ぐらい乗るのだ。連日30℃越え予報のウィーン、持ってきたのは半袖ばかりだ。
苦肉の策で、「そんなのいらなくない?」と笑っていた夫の長袖Tシャツを引っ張り出し、パーカーの下に着る。
それでも寒く、パーカーの前ファスナーもしっかり閉めると、見事、パツパツに着膨れしたちぐはぐルックが完成した。
もっとスマートに旅をしたいものだ。
結局、1000km11時間の列車旅は5分の遅れだけで到着した。寒すぎる以外は優秀なÖBBだった。