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雨の日のお別れ|ありがとうAvensis
2012年のクリスマスに起こったアクシデントのあと、エンジンを交換して見事復活を果たしたわが家の車Toyota Avensis Verso(イプサム)。
その後、不具合が起こるたびに修理しながら、さらに10年の月日が流れた。
その2022年にはこんな記事を書いている。
このときは主治医のようにお世話になった近所の整備場での車検でまた不具合が見つかったものの、もしかしたら修理は必要ないかも、と楽観的な見通しもあった。
しかし、トヨタの整備場に預け詳細にみてもらったところ、それは一転、厳しいものになった。やはり大掛かりな修理と交換が必要とのことで、大きなパーツも日本からの輸入となる。
すでに20年乗った車ということを鑑みれば、それは実質「もう諦めてください」ということだった。
このあいだに車検の期限も切れたため、もう道路を走らせることはできない。
まだ車に積んであったいろいろなものを回収するのに大きなバッグを集めて夫とバスで向かった。
20年前、納車になって家に乗って帰ったときに記念に撮った写真の子どもたちはまだみな小さい。
熱を出したこどもを乗せて、また空港までいくつもの大きな荷物を乗せて。もちろんフランスからの引っ越したときもこの車と一緒だった。日本の両親が来たときには7人を乗せてドイツの田舎道を走ってくれた。ドイツからスペインまで往復5000kmを超える旅をした夏もあった。
Avensisは子どもたちの成長を見守り、いつも私たちと共にあった。
そんなことを思い返しながら、書類にサインをする。思わず涙が溢れた。どうにもこうにも涙は止まらない。隣の夫も同様だった。
トヨタの係の人は、「え……」と驚きと困惑の様子だったが、何秒後かには一緒に泣いてくれていた。うれしかった。
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さようならとありがとうを繰り返し、整備場をあとにした。
大きなバッグを両肩に担いで泣きながら歩く私たちは夜逃げ感ありありだったが(昼間だったけど)、雨のおかげで少しは傘で隠れた。
いまでもエンジンをかける時の音が家の外で聞こえるようだ。
それ以来、なんとなく新しい車は買わずにカーシェアリングを利用している。
でももし、今後新たに自家用車を迎えることがあれば、また青がいいなと思っている。