王宮の二重らせん階段とガチョウのロースト
グラーツ半日散歩の最終回。
娘の部屋へ荷物を運び終えると15時を過ぎていた。
天井の高い古い集合住宅がこのようにシェアハウスとして使われるケースが多いようだ。
大学周辺をまわり街の中心へ向かう途中、かつての皇帝フリードリヒ3世が住んだという王宮に立ち寄った。
わりと普通の建物に見えたが、やはりほとんどの部分が近年改築されたものらしく、現在は州知事公邸となっているようだ。
そんな中、一ヶ所だけ15世紀に建造された時のまま残っている一角があった。
それがこちらの二重らせん階段塔。
入り口はこうなっている。
細かい修復はこまめになされているのだろうが、このモダンにも見えるデザイン性と頑丈な作りは15世紀のものとは思えない。
かなり歩いたので近代美術館1階のカフェでひと休みすることにした。
おやつには遅い時間で迷ってはいたが、ケーキを見たらやはり食べたい3人。
日本の高級店のケーキだったら3個分はありそうなドーンとお得なサイズ。
私は夫のにんじんケーキを少しもらうだけにした。
中心地区には創業1569年というパン屋さんがある。
日が落ちて急に疲れを感じるも、特大ケーキを食べたばかりで夕飯というわけにもいかず。
とはいえ夕飯までさらに歩き続けるのも無理と思われ、夫と私は一度宿に戻って出直すことにした。
そのあいだもずっと歩いていたという娘とその彼氏と、予約していたレストランで落ち合う。
シェアハウスの仲間(なぜかみな実家が市内にあるという)が勧めてくれたというビアレストラン「Gösser」だ。
もちろん、ここではビール。
ビールと一緒に出てきたほんのり温かいパンがうれしい。
(でもしっかり加算されていた。テーブルチャージのようなものか)
そして注文したもののひとつがこちら。
11月11日は聖マルティヌスの日。
ガチョウをいただく習慣があるため、日曜日までの特別メニューになっていた。
食事を終えて外に出ると冷たい夜風がコートの中に入りこんできた。鼻がツーンとして思わず肩をすくめたが、冬のその感じは嫌いではない。
グラーツはツーリスティックに過ぎず、かといってよそよそしさのない懐の広いところのように思えた。
次はもう少し時間をゆっくり取って来たい。
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